暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第71話「努力の真髄」
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のものは防げても、衝撃までは防げないからだ。

「……無駄か」

「………」

 だが、桜は二撃の連発をやめる。
 傍目から見れば、秋十が防戦一方だった。
 しかし……。

「必要最低限の動きと速さで凌いでいた。後3回放っていたら、反撃に転じていただろう」

「……具体的な数字まで言われるとは思いませんでしたが、概ねその通りですね」

 そう。秋十は反撃の機会を伺っていた。
 二重之閃は確かに同時に二撃を放っているほど高速な技だ。
 しかし、それを防ぐのに同じ速度である必要はない。
 秋十は体感からその防げるギリギリの範囲を狙い、直後に反撃に転じようとしていた。
 技を編み出した秋十だからこそできる芸当だった。

「……なら、こいつはどうだ?」

   ―――“三重之閃”

「ッ!!」

     ギギギィイン!!

 二撃が、三撃へと、変わった。
 たったそれだけで脅威は段違いに変わる。

「何……?」

   ―――“三重之閃”

「ッッ!!」

     ギギギィイン!!

 しかし、それさえも。

「ッ!?」

「ふっ!」

     ギィイン!!

 秋十は、防ぎ切った。
 否、それだけでなく、反撃を繰り出した。

「何……?」

「……桜さん。忘れたんですか?桜さんが俺に属性などを教えたように、その技を作り出したのは俺ですよ?」

 そういう秋十だが、何もダメージがない訳じゃない。
 既にボロボロともいえる状態なため、飽くまでダメージを最小限に抑えているだけだ。
 その事に桜も気づいている。

「……対処法は、誰よりも熟知している訳か」

「そういうことです」

 一見、対等に見える攻防。
 しかし、俄然不利なのは秋十だ。
 動きが最適化されただけであって、実力は桜に劣っている。

「……だとしても、だ。その動き、間違いなく武の極致に至っているぞ」

「……まさか。俺のはただ努力に基づいた動きをしているというだけです」

「(それが極致と同じなんだがな……)」

 桜に挑むほどの気概はあるというのに、相変わらず自己評価の低い秋十。
 だが、だからこそ油断できないと桜は構えなおす。

「(いくら無能でも、積み上げた努力は、何一つ無駄じゃない。……天才の俺だからこそわかる、秋十君の努力の強さ……俺からも“挑ませて”もらおうじゃないか……!)」

「(来る……!)」

 秋十は桜が動くと見て、気を落ち着ける。
 だが、決して体に意識を向けない。
 そうしてしまえば、せっかくの秋十の“最適化”が無効化されてしまうからだ。

「ふっ……!」

「シッ……!」

     ギィイン!!ギ
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