最終章:夢を追い続けて
第71話「努力の真髄」
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「……凄い……」
足止めをしていた皆の戦いを見届け、ウーノとのハッキングの競り合いを終えたユーリは、秋十達がいる場所のカメラを見ていた。
そこには、ボロボロでありながらも、倒れない程度に桜と互角に戦う秋十の姿が映っていた。
「あの桜さんと互角に……」
否、本人たちは互角だとは思っていない。
互角に見えていても、実際は桜の方が上だ。
それを、努力の積み上げで負けないように留めているだけだった。
「あ……」
そこで、ユーリはあることに気づく。
……桜が、顔に笑みを浮かべている事に。
「笑っている……?」
どうしてなのか、ユーリは首を傾げる。
そんなユーリに、クロエが解説するように話しかける。
「桜様は、かねてよりの夢を叶えようとすると同時に、もう一つの願いを叶えるつもりでした。……天才ではない者との、全力の戦い。それが叶った事で、桜様は笑っているのだと思います」
「……そうなんですか……?」
戦いをあまり好まないユーリにとって、それはあまりピンとこないものだった。
「クロエ君の言う通りだね」
「え……ドクター?どうしてここに?」
そこへ、さらにクロエの言葉に同意するように、ジェイルが現れる。
「いや、何……。妹に捕まってこってり絞られてしまってね……。ここへ案内すると同時に、私も観戦に徹しようと思ってね」
「……ドクターに妹がいたんですか?それは難儀な妹さんです……」
「いや何気にひどいねユーリ君!?」
ユーリが思わず呟いた言葉に、ジェイルも突っ込まざるを得なかった。
なお、今この場にいるジェイル以外の全員が“そう思うのも無理はない”と思うぐらいにはジェイルが変人なので、仕方がないとも言える。
「しかし、こってり絞られたという事は……突入部隊にいたのですか?」
「そのようだね……いやはや、カメラに映った時は柄にもなく冷や汗が止まらなかったよ。挙句の果てには単独行動をしてでも私の位置を突き止めてくるのだから」
“ハハハ”と笑うジェイルは今までの笑いと違い、どこか引き攣っていた。
「そりゃあ、ねぇ?“悪役になってみたい”なんて馬鹿げた考えだけでこれに加担しているどころか、いくら賛同してくれたとは言え娘を巻き込んだ不肖の兄ですもの」
「ハハ、ハ……」
「あのドクターがここまで乾いた、且つ引き攣った笑いになるとは……」
基本無表情なクロエがそう驚くほど、ジェイルは顔を引き攣らせる。
そんなジェイルの後ろから声を掛けたのは、もちろん件の妹である。
「私がその妹のクイント・中島よ。一応、立場上囚わ
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