ミライトーク『アルサスの平穏』
[3/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るのは仕方のない事だった。無論、フィーネも傭兵時代の過酷な生活を送ってきたエレンとリムも知らないわけではないが。
凱(ティグルが庶民か――確かに、伯爵の身分がなければ、そういわれても違和感ないんだよな)
ティグルはあれでも爵位もちなのだが、身なりに加え、民とほとんど同じ水準の生活用品しか使っていないのだから、リュドミラが「庶民の暮らし」と思うのも無理はないだろう。
リム「私も同感です――リュドミラ様」
エレン「ちょっとまて、リュドミラの味方をするのか、お前は」
リム「敵か味方じゃなくて、頻繁にライトメリッツの城下町へ、ティグルヴルムド卿と『遠征』に出かけたエレオノーラ様がそれを言いますか」
エレン「民の生活を知る為だ!これだけは譲れん!」
えっへんと胸を張るエレン。豊かな胸がより一層強調されたように見えた。
ミラ「ホント、呆れて何も言えないわ。ジスタートの戦姫が街中で物を食べ歩くなんて……」
エレン「おい貴様!ロドニークの露店前で腹の音を鳴らしながら麦粥を喜んで食ってたお前に言われたくない!」
思い出して顔を赤くするミラ。皆の前で腹の虫をかき鳴らして恥をかいた。
あくまで自分は無関係―――と凱に思わせたかったのだが、立合者であるエレンとリムがいればそうはいかなかった。
そこでミラは開き直った。
ミラ「せっかくの気遣いを無下にしたくなかったからよ!あなたこそ見せつけるように食べるなんて大人げないわよ!」
――俺から見ればそうやって張り合うところを見るとまだまだ子供なんだけどな。
思い出話で咲きかえる戦姫を見ていると、凱の心に微笑ましいものと呆れさが同時に芽を吹くのを感じた。それはフィーネも同様であった。
二人の応酬が落ち着くまで、凱とリムとフィーネは一歩下がって見守っていた。
リム「そういえば、そんなこともありましたね」
凱「その時はリムも一緒だったのか?」
リム「ええ、ティグルヴルムド卿も一緒でした。エレオノーラ様とリュドミラ様――あの時の二人はどちらも『大人げなかった』のですが――」
フィーネ「リム。エレンとミラ、二人の出会いはどんな感じだったんだ?」
エレンの義姉という立場を意識してか、フィーネはそれとなくリムに聞いた。
リム「それは――初対面から最悪でした……」
随分と力のない言葉だなと思った凱は、ひたすらリムの言葉に耳を傾けていた。
かくかくしかじか――――
凱「……さぞ恐ろしかったのだろうな。10人がかりでやっと止められたのか」
リム「それはもう」
隣のリムの表情を見る限り、相当なものなのだろうなと凱は察する。
エレンとミラはまだうがうが言い合っている。
そろそろ二人の仲裁に入るとするか。
凱「エレン
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ