第五章
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「絶対にな」
「このことは何処でも同じですね」
「日本でも」
「大阪でもな。では今はそのまま帰ってだ」
そしてというのだ。
「寝るといい」
「そうさせてもらいます」
「これから」
「ではな。わしは海の中に戻って寝る」
海坊主もそうするというのだ。
「あんた達も練ることだ」
「わかりました」
二人は頷きそうしてだった。
ダイアナとエミリーは妖怪と別れ住之江区を後にした、そしてそれぞれの今の家に戻って風呂に入ってから寝た。
そしてエミリーは次の日恵子達の店に行ってダイアナと共に恵子と理沙に昨日の海のことを話した。
するとだ、話を聞いた理沙はこんなことを言った。
「海坊主は私も知ってるけれど」
「有名な妖怪ですね」
「ええ、けれどね」
こうエミリーに言うのだった。
「大阪湾に出て来るなんてね」
「思っていませんでしたか」
「ちょっとね」
「そうでしたか」
「海坊主ってもっと沖に出ると思っていたら」
恵子も腕を組み考える顔に成り言う。
「違うのね」
「そうした海坊主もいるのね」
「ええ。けれどいいこと言ってるわね」
恵子はここで理沙に応えて微笑んだ。
「女の子は特に用心しないとね」
「ええ。危ないところに行かない」
「夜に一人で外に出ない」
「それはいいことよね」
「本当にね」
まさにというのだ。
そしてだ、恵子はエミリーにあらためて言った。
「これからは絶対にね」
「はい、夜に危ない場所にはですね」
「行かないでね。それに夜に一人での外出も」
「避けるべきですね」
「絶対にね。大阪も危ないでしょ」
それでというのだ。
「だから気をつけてね」
「そうします。剣道二段でも」
エミリーは恵子に真面目な声で応えた、ただその表情は変わっていない。いつもの微笑んだものである。
「相手が多かったらまずいですから」
「そう。ヤクザ屋さんだとね」
「特にですね」
「まずいから。だからいいわね」
「これから気をつけます」
是非にと言ってだ、そしてだった。
エミリーは後は恵子達と店の紅茶を飲みつつ談笑をした、納戸の中では納戸婆がその話を楽しく聞いていた。
海坊主 完
2018・5・26
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