暁 〜小説投稿サイト〜
水の国の王は転生者
第四十六話 月に一番近い場所
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
人に降って来る様だった。

「マクシミリアンさま! すごいですよ、今にも星も月も手に届きそうで!」

 一方、カトレアは息切れ一つせず、星空の下、両手を広げてくるくると回っていた。

「……ああ、とっても綺麗だ」

 月と星と愛する妻が、同時に目に飛び込んできて、マクシミリアンは言葉を失い、思わずくるくると回るカトレアを抱きとめ、その唇を奪った。

「ん……わたし、アルビオンに来て良かったです」

「喜んでもらえて嬉しいよ」

「聞いて下さいマクシミリアンさま、実は今日……」

「なんだい?」

 二人は、備え付けられたベンチに座り、持ってきたワイングラスを傾け、新婚旅行の思い出を語り合った。

 ちなみに、執事のセバスチャンとベティとフランカのメイドコンビは、西側の塔から二人に危害を加える者が無いように、MG42を固定させ目を光らせていた。役割はベティが射手フランカが給弾手、セバスチャンは周囲の警戒を担当していた。

「あんなに仲睦まじそうに……」

「私も彼氏欲しいな……」

「……」

 年頃の女の子らしく、二人は羨んでいた。一方のセバスチャンは、任務に忠実で黙ったまま周囲の警戒を行っていた。

 そうとも知らず、ワインとおしゃべりを楽しむマクシミリアンとカトレアだった。

 ……

 一時間ほど経ち、マクシミリアンとカトレアは、ベンチに座り夜空を眺め続けていた。

「カトレアは……さ」

「はい」

「あの星々の中に、僕たちの様に人間が、生命がいる星があると思う?」

「……あると思います」

「それはどうして?」

「わたし達が、こうしてここに居るんですもの。わたし達だけしか、この世界に居ない……なんて事は無いと思います」

「そうか……そう言ってくれるか。カトレア、実は……」

 マクシミリアンは、これまで何度も自分の正体について打ち明けようか迷ったが、打ち明けることが出来なかった。カトレアなら自分を受け入れてくれる決心し、新婚旅行の最後の訪問地で、ついに正体を明かそうと計画し実行しようとした……しかし。

「マクシミリアンさま」

「ん?」

 珍しくカトレアはマクシミリアンを遮った。

「マクシミリアンさまはトリステイン王国の王子様で、わたしの愛する御方です。」

「カトレア……」

「わたしも気にはなっていました。でも、そんな事はどうでもよくなったんです」

「それは何故?」

「貴方が何処から来たとしても関係無い。マクシミリアンさまに、初めて恋をした時の感情は嘘じゃない……愛する感情は嘘じゃない、そういう結論に行き着いたんです」

「そうか、うん……」

 マクシミリアンは一度深呼吸して気持ちを入れ替
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ