第二章
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「外食だと休日はないでしょ」
「ああ、休日は平日だ」
シフトの入っていない日である。
「その日だよ」
「そうでしょ、だったらね」
「土日仕事でもか」
「そうよ。私だって仕事あるし」
実は紗菜の方もだ、紗菜は紗菜で八条寿司の福島店の店長だ。ちなみに二人が住んでいるマンションは浪速区にある。
「今日はお休みでもね」
「じゃあ今から行って来るな」
「ええ、行ってらっしゃい」
紗菜は夫を送ってそれから洗濯ものを干してそうして他の家事もして家事が終わった後はくつろいで休日を楽しんだ。それと共に晴れに心から感謝した。
それでだ、家に帰って来た夫に笑顔でこう言ったのだった。
「晴れで何よりだったわ」
「洗濯ものもお布団も干せてか」
「ええ、それが出来たから」
だからだというのだ。
「何よりだったわ」
「ささやかな幸せだよな」
「晴れたらそれで幸せっていうのは」
「何かな」
「幸せってそんなものでしょ」
これが妻の返事だった。
「やっぱりね」
「晴れるとか」
「だって洗濯ものがよく乾いて乾燥機も使わなくて済むから」
電気代も節約出来るとだ、紗菜は慎吾に言った。
「だからね」
「晴れるとそれだけいいか」
「そうよ」
こう言うのだった、二人はテーブルに向かい合って座って一緒に夕食を食べているがそこに出ているマカロニグラタンも鱈のムニエルもサラダも全てスーパーで安いから買ったものである。
「お金を節約出来るからね」
「それだけ幸せか」
「そう、それだけでね」
「成程な。しかしな」
「しかし?」
「いや、ずっと晴れるっていうのもな」
それもとだ、慎吾はムニエルで御飯を食べつつ妻に言った。
「やっぱりな」
「晴れの日ばかりじゃない、ね」
「人生だってそうだしな」
「当然お天気もね」
「それはわかってるわよ」
その現実にだ、紗菜は夫に憮然とした顔で返した。
「私だってね」
「そうだよな」
「それも人生よ、けれどね」
「それでもか」
「出来る限りね」
「晴れであって欲しいんだな」
「理想は夜に思いきり降って」
洗濯ものを干すことがなく通勤にも関係がない時間帯にというのだ。
「それでお昼は思い切り晴れる」
「そうなったら確かにいいな」
「だからそうなることがね」
まさにというのだ。
「理想だけれど」
「理想っていうか夢だろ」
それはとだ、慎吾はグラタンを食べる紗菜に返した。尚料理は全て手作りだ。全て家計の為である。ただしサラダにかけるドレッシングは市販のオニオンドレッシングだ。
「それは」
「そうだけれどね」
紗菜もそれは夢つまり願望だと認めた。
「確かに。けれどね」
「それでもか」
「そう、出来る限りね」
「雨は夜に降って欲しいか
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