第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
[2/24]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いる今の凱には、そのような気遣いが嬉しかった。
「ありがとう」
例え、つたない励まし方であろうとも――。
言葉をかけてくれたフィーネに、礼を言いたい凱であった。
【アルサス・深夜・中央都市セレスタの中心部】
「……テナルディエは本当にアルサスから撤退したのか?」
「あの引き際から見て間違いないだろうな。少なくとも罠ではない」
冷たい夜風の吹きぬけるセレスタ。撤退情報に対して半信半疑の凱は、冷徹な戦略眼の持ち主であるシーグフリードに意見を求めた。
銀閃の勇者――すなわち凱にアルサスを踏み込まれた時点で、もはやこの領地に戦略拠点としての価値はなくなった。
だからこそ、思わせぶりな罠を仕掛ける意味もないし、そこまでしてまでの軍費用対効果も薄い。
ともかく――
フェリックス=アーロン=テナルディエの撤退、そしてその部下であるノア=カートライトへの事実上の敗北。
二つの衝撃に叩きのめされた凱達は、幾間をおいてようやくティグルの屋敷前を出て、テナルディエの残党の有無を確認するために村の中央部へ戻る。
戻った先??己が瞳に映る世界は『悪鬼羅刹』そのものだった。
「やめてください!やめて!やめてください!」
ティッタの叫び声に凱は慌てて駆けだす。
その光景を目撃して凱とフィーネは思わず絶句した。
なぜなら、今この瞬間にも、『虐殺』の嵐が巻き起ころうとしていたからだ。
「死ね!殺せ!消えてなくなれ!」
「今までよくも好き勝手にこき使ってくれたな!」
中心部には、凱によって倒されたドナルベインと、凱の手で倒されたテナルディエ配下の『ユナヴィール治安兵』が処刑台に括りつけられていた。
本来なら、目前にいる少女の母親が、ここへつるし上げられるはずだった。
燃える水を盗み、アルサスから逃亡しようとした罪を背負わせるための処刑施設。
――その名は『煉獄』
元々は、銀の逆星軍参謀長のカロン=アンティクル=グレアストが考案した拷問処刑の一つだ。
水より軽いという『燃える水』の比重性質を利用して、鉄製の檻に咎人を閉じ込めてあぶる清めの炎。
なのに、自分自身が入る羽目になろうとは、ドナルベイン自身おもいもしなかった。
自業自得。それを理解する頃には、既に遅かった。
そして、セレスタの人たちが鎌やクワを持って、ドナルベイン達を取り囲んでいた。
ノアと戦っている間、テナルディエは敗残兵となったドナルベインの身柄を拘束し、この公開処刑施設へ放り投げた。
その際、テナルディエは村人たちに告げた。
「もはやアルサスに用はない。勇者ティッタとの約束通り、貴様たちに返してやる」
ついでに、『不殺』などという甘っちょ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ