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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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いる今の凱には、そのような気遣いが嬉しかった。

「ありがとう」

例え、つたない励まし方であろうとも――。
言葉をかけてくれたフィーネに、礼を言いたい凱であった。










【アルサス・深夜・中央都市セレスタの中心部】










「……テナルディエは本当にアルサスから撤退したのか?」
「あの引き際から見て間違いないだろうな。少なくとも罠ではない」

冷たい夜風の吹きぬけるセレスタ。撤退情報に対して半信半疑の凱は、冷徹な戦略眼の持ち主であるシーグフリードに意見を求めた。
銀閃の勇者――すなわち凱にアルサスを踏み込まれた時点で、もはやこの領地に戦略拠点としての価値はなくなった。
だからこそ、思わせぶりな罠を仕掛ける意味もないし、そこまでしてまでの軍費用対効果も薄い。
ともかく――
フェリックス=アーロン=テナルディエの撤退、そしてその部下であるノア=カートライトへの事実上の敗北。
二つの衝撃に叩きのめされた凱達は、幾間をおいてようやくティグルの屋敷前を出て、テナルディエの残党の有無を確認するために村の中央部へ戻る。

戻った先??己が瞳に映る世界は『悪鬼羅刹』そのものだった。

「やめてください!やめて!やめてください!」

ティッタの叫び声に凱は慌てて駆けだす。
その光景を目撃して凱とフィーネは思わず絶句した。
なぜなら、今この瞬間にも、『虐殺』の嵐が巻き起ころうとしていたからだ。

「死ね!殺せ!消えてなくなれ!」
「今までよくも好き勝手にこき使ってくれたな!」

中心部には、凱によって倒されたドナルベインと、凱の手で倒されたテナルディエ配下の『ユナヴィール治安兵』が処刑台に括りつけられていた。
本来なら、目前にいる少女の母親が、ここへつるし上げられるはずだった。
燃える水を盗み、アルサスから逃亡しようとした罪を背負わせるための処刑施設。

――その名は『煉獄』

元々は、銀の逆星軍参謀長のカロン=アンティクル=グレアストが考案した拷問処刑の一つだ。
水より軽いという『燃える水』の比重性質を利用して、鉄製の檻に咎人を閉じ込めてあぶる清めの炎。
なのに、自分自身が入る羽目になろうとは、ドナルベイン自身おもいもしなかった。
自業自得。それを理解する頃には、既に遅かった。
そして、セレスタの人たちが鎌やクワを持って、ドナルベイン達を取り囲んでいた。

ノアと戦っている間、テナルディエは敗残兵となったドナルベインの身柄を拘束し、この公開処刑施設へ放り投げた。
その際、テナルディエは村人たちに告げた。

「もはやアルサスに用はない。勇者ティッタとの約束通り、貴様たちに返してやる」

ついでに、『不殺』などという甘っちょ
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