第24話『暁のティッタ〜勇者が示すライトノベル』
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「勝負ありですね」
「俺の……負け」
勝ち誇るわけでもなく、なお変わらぬ笑顔のままノアが静かに告げる。
勝負の直前、獅子王凱は大きな事実を見逃していた。
ノアを殺さずして倒す凱の刃と、凱をアリファールごと『断絶』たらしめんとするノアの刃とでは、剣輝のキレに明確な差が出る。
それこそ、凱がノアに勝つことができない決定的な隔たりだった。
漠然と、信じられないものを前にしたように、凱は『欠けた』方のアリファールの刃を見つめている。
己が墓標の如き地面に突き刺さる、アリファールの先端を。
「……あれ?」
だが――この真剣勝負はノアの完全勝利、とは言い難かった。
彼の持つ神剣ヴェロニカは、刀身にとって脊椎ともいうべき『芯鉄』にまで至るヒビが走り、激しい刃こぼれを起こしていた。
それでも、戦えない……ことはない。
シーグフリードの『炎の神剣エヴァドニ』も、ノアの持つ『鎧の神剣ヴェロニカ』も自己修復能力を持つ。
修復期間を除けば、この程度の破損は何の足かせにもならない。
だが、ノア自身も継戦能力の一部を失ったのは否定できない。
「これではしばらくヴェロニカで戦うのは無理ですね」
まるで遊び飽きたといわんばかりに、ノアは鎧の神剣ヴェロニカを鞘に納めると、未だ茫然と立ち尽くす凱を横目に、その場を立ち去ろうとする。
「ガイさん、次に会うときはちゃんとアリファールを修復しておいてくださいね。今日はこれで失礼しますけど、あなたもそろそろ自分を振り返るときじゃないですか?」
「…………余計なお世話だ」
折れたアリファールは、まるで一つの残酷な事実を突きつけているようでさえあった。
銀閃の刃面に映る、凱の愕然としたその表情。
――王の冠角を捨ておいて、勇者の仮面を被ったままでは、この先フェリックスはおろか、その部下であるノアでさえ勝てない――
まるで己のすべてを否定されたような気持になりながら、凱は折れた銀閃の長剣を鞘に納めた。
折れたのは竜具だけではない。むしろ、へし折れたのは竜具の翼と凱自身の心であった。
――――◇―――◆―――◇―――
「……アリファール、折れてしまったね」
「フィーネか」
打ちひしがれる凱にこんな言葉しかかけられないフィーネ。
片目黒髪の彼女もまた、沈んだ己の表情をアリファールに映す。
「でも、銀の逆星軍をアルサスから追い払えたんだから、結果的には良かったんじゃないか?」
うって変わって、現実主義の傭兵たるフィーネには珍しく、明るい口調でいいのけてみた。
しかし、どこか不器用な空気感は否めない。
それでも、アリファールをへし折られたショックで沈んで
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