第三十四話
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第三十四話 ヤクザ者さえも
カーミラが普通に神戸の街を歩いているとだった、かなり減っているにしてもまだ日本にはいる暴力団構成員達と擦れ違った。
その時にだ、先頭にいた和服の男がカーミラの方を振り向いて言った。
「あの嬢ちゃんは」
「金髪の姉ちゃんですね」
「えらい別嬪さんですね」
「何処の誰か知りませんけど」
「えらい美人ですけど」
「知ってる人ですか」
「知らん、しかしな」
和服の男は如何にも構成員といった者達に鋭い目で話した。
「あの嬢ちゃんには関わるな」
「カタギじゃないんですか」
「ひょっとして」
「あの嬢ちゃんは」
「わし等と同じですか」
裏の者かとだ、ヤクザ者達は考えた。だが和服の男は彼等にこう言った。
「違う、あれはもっとやばい」
「わし等よりもですか」
「極道よりも」
「そうなんですか」
「ああ、わしもでかい組持ってるが」
しかしと言うのだった。
「あの嬢ちゃんは半端じゃない」
「半端じゃない悪党ですか」
「だからですか」
「そうなんですか」
「違うな、悪党ではないが」
しかしと言うのだった。
「あの嬢ちゃん相当な人殺してるな」
「そうは見えませんが」
「殺し屋ですか」
「それだと」
「血の匂いが凄い」
それがというのだ。
「だからあの嬢ちゃんには関わるな」
「声をかけることもですか」
「あきませんか」
「あの人に声をかけたら」
「わし等がですか」
「世の中わし等よりやばい奴がおる」
和服の男はまた言った。
「あの嬢ちゃんはそうした人ってことだ」
「そうですか」
「じゃああの嬢ちゃん今度見たら視線外します」
「そうします」
「そんなにやばい嬢ちゃんでしたら」
若い者達も言った、そしてだった。
以後神戸でカーミラを見て目を向けるヤクザ者はいなかった、彼女に恐ろしいまでの妖気があるからこそ。
第三十四話 完
2018・3・22
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