Side Story
変わりゆく者達へ 〜Message from will of the primitive〜
[13/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
当の意味では誰とも向き合ってなかったんだよ。創造神は。
それに気付くのが、あまりにも遅すぎて。
あの子に伝えるべき言は、間に合わなかった。
届けなければいけなかったのに。
理解させなければいけなかったのに。
君のその手を伸ばしなさい、差し出しなさいと。
目の前のすべてを認めなさいと。
そんな、たった一言さえ、あげられなかった。
私は、創造神の『欠片』。
後悔と惜別と、最後のわがままが遺した『欠片』。
あの子もいつか大切なことに気付いてくれると信じて眠るしかなかった、非力で無力で他力本願な、大バカ野郎なのさ。
なんだか大仰に崇めてもらってたみたいなのに、呆れさせちゃったかな?
…………ふふ。ありがとう。
じゃ、本題だ。
あの子には
『ごめんねえ。でも、それは自力で見つけ出して欲しいな。これから始まる世界のどこかにあると思うんだ。そうだ! 宝探しをしてみてよ。君が君を見つける瞬間を楽しみにしているよ。頑張ってね、私の鏡』
って伝えてほしい。
聞き入れてくれない可能性?
それは多分、ないんじゃないかな。
どんな経緯があったにせよ、君は、空っぽだった筈のあの子が、自発的に形を保たせている唯一の存在だ。
君が向き合う姿勢を見せてくれれば、あの子はきっと応えてくれるよ。
互いの認識が噛み合うまで、時間は掛かるかも知れないけどね。
なんせ、ほら。
あの子はもう一人の大バカ野郎だから。
どうしてもダメって時は、私も微力ながら援護するつもりだし。
手を煩わせちゃって申し訳ないんだけど、よろしくお願いします。
それから、後世を生きるすべての者へ。
君達は、限りある世界に生まれた、限りある命だ。
長短の差はあれど、例外はなく、いずれ必ず終わりの刻を迎える。
初めから終わりが定められている世界だし。
自我を持つこと自体、理不尽で無意味に思えるかも知れない。
あるいは、消えたくなんかないと、限りを恐れているかも知れない。
創造神も、最後はそうだったからね。
何も伝えられないまま消えてしまうのは、すごく怖くて、哀しかったよ。
笑っちゃうよね。
自分が消えゆく身になって初めて、白や黒との戦いがどんなに無駄なことだったか……創造神や、あの子に消されていった生命達が、どれほど悔しい思いをしていたのかを理解したんだから。
本当、最低だったと思う。
だからってわけじゃないけど……
君達は、君達が思うままに生きて。
白や黒のように、誰かや何かに従ったり無理に合わせる必要なんかない。
君達自身が、君達自身の意志で、君達が認識する世界を構築してい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ