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186部分:ラグナロクの光輝その四十

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ラグナロクの光輝その四十

「第四帝国はアースの帝国だった。ホランダーの帝国であった第三帝国を滅ぼし、彼等から全てを奪ったのだ」
「全てを」
「命すらもな。今ホランダーは僅かしかいない」
「そうだったのか」
「それで」
「ローゲもまた」
 六人にもそれはわかった。彼等アースの者達もまたホランダーを迫害してきたのだ。何もローゲやクリングゾルだけではなかったのである。
「その他にもだ。アースに逆らう者達は次々に討たれた。それがアースの歴史だ」
「では貴方はニーベルングの行いを正当化すると」
「違うな。我々も諸君等と同じだと言いたいだけだ」
 クリングゾルは傲然と述べてみせた。
「同じだと」
「そうだ、諸君等がそうであるように我々もまた。統治の為に必要なことを為しているだけなのだ」
「統治の為に」
「そして覇権の為に。わかるか」
 そのうえで問うた。
「これは戦いなのだ。諸君等と我々の」
「アースとニーベルングの」
「そういうことだ。正義か悪かではない」
 遂にそれを言った。
「どちらがこの銀河を手中に収めるかだ。これはそうした戦いなのだよ」
「では貴方は私達に覇権を挑んでおられるのですね」
「やっよわかってくれたか。では私が次に何処に現われるかわかるな」
「ヴァルハラに」
「そうだ、ラインにいる」
 不敵な笑みを浮かべて答えた。
「そこまでの道は用意しておこう。来るがいい」
「敵地に」
「違うな。諸君等の場所は既にヴァルハラにもある」
「ノルンですか」
「そうだ、双惑星の一つノルンだ」
 クリングゾルの言葉が妖しく光ったように思われた。そこには反抗することを許さぬ絶対の響きがあった。
「そこに来るがいい。そして」
「雌雄を」
「待っているぞ」
 クリングゾルは姿を消そうとしていた。その身体が徐々に闇の中に消えていく。
「ムッ!」
「ヴァルハラで会おう」
 それが最後の言葉であった。クリングゾルは去った。後には気配も何もなかった。祭壇での戦いはとりあえずはこれで終わったのであった。
「終わりか」
「とりあえずここでの戦いはな」
 七人は互いに顔を見合わせた。最早クリングゾルの気配は何処にもなかった。

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