第33話
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〜第U分校・屋上〜
「フフ、良い街ですね。帝都近郊にありながら落ち着いて過ごしやすそうだ。旧Z組も馴染み深い、本校のあるトリスタ同様に。」
リィンと共に屋上からの景色を見つめていたセドリック皇太子は感想を口にし
「ええ………」
セドリック皇太子の感想にリィンは静かな表情で同意した。
「―――本当なら去年、本校に入学するはずでした。リィンさんと縁深いあの旧Z組の後輩として過ごせた筈なんです。ですが、旧Z組は全員本校から去り、僕自身も再び体調を崩して諦めざるを得ませんでした。悔しいし、心残りですよ。」
「殿下……―――殿下はまだ17歳、焦る必要は全くないでしょう。自分は殿下と違い、入学すらもしていないのですから。」
「フフ、それはいいんです。今年、本校に入学したのは結果的に良かったと思っています。―――この1年で背も随分伸びましたしね。」
「ええ、本当に見違えました。武術の訓練なども熱心にされている様子……ご立派になられましたね。アルフィンも今の殿下を見れば、きっと驚くと思います。」
「ふふ………まだまだです。アルフィンにも後で挨拶はして帰るつもりですが…………改めてお礼がしたいと思っていたんです。あの時、”Z組”や”特務部隊”の皆さんが助けてくれなかったら僕の命は危なかったでしょう。もしくは、今もカイエン公の傀儡であり続けたかもしれません。……本当にありがとうございました。」
「……恐縮です。それに、殿下をお救いしたのは自分達の力だけではありません。トールズ本校の皆や、オリヴァルト殿下を始めとする協力者の方々……――――それ以外にも力を貸してくれた者もいます。」
「歌姫クロチルダさんですね。」
「え………」
セドリック皇太子が知るはずのない協力者を知っている事にリィンは呆けた声を出した。
「リィンさん達に”蒼の騎神”ごと敗れたクロウさんがメンフィル帝国に対する憎悪や悔しさ等によって、そんなクロウさんの感情に反応した”紅蓮の魔王”がクロウさんと一体となり、暴走してしまったこと……そして――――戦いの末、”紅蓮の魔王”に生命エネルギーを奪われた事によってクロウさんが命を失った事も、あの時意識が混濁していたはずの僕の脳裏に不思議とその光景が見えていたんです。」
「!?」
セドリック皇太子の説明を聞いたリィンは驚きの表情でセドリック皇太子を見つめた。
「カイエン公の協力者とはいえ、クロチルダさんは力を尽くしてくれましたし、クロウさんはある意味僕の身代わりになったともいえます。その結果クロウさんは――――――ずっと悔やんでいたんです。あの時、僕に”力”があれば……何者にも屈することのない”揺るぎない力”があれば―――カイエン公に利用されず、メンフィル
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