9時間目
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「なんだこりゃ……」
よく注意してみれば、コレらは生物ではなく呪術で作られた式神であることにきづく。
同じく式神であることに気づいた刹那はすぐさま刀で斬りつけようとするが、本物のサルと勘違いしたままのネギがそれを止め、……揉みあった末にサルに文字通り足元をすくわれ縺れて転んでしまう。
「ちょっと、このままじゃおサルに木乃香がさらわれるーー!!」
エッホエッホと胴上げのように木乃香を担ぎ上げ、運び出そうとするサルたち。
彼らは急ぎ彼女を目的の場所まで運ぶため外に出ようとした。
そう、今まさに千雨がいる浴場への入り口を通ろうとして。
(はぁ……)
サルからすれば目の前にいる一般人程度なんとでもなるとでも思ったのか、そもそも低級すぎて何も考えなかったのか、サルたちはそのまま突き進む。
それに対して千雨がとった行動は一つ。
「……」
扉を閉める、だった。
通常の扉だったら破壊される可能性があったが、千雨は扉を閉める際に少しばかりの霊力を付与した。
そうして強化されたと知らずにサルはそのまま突撃し、そのまま反動で後ろにはじき飛ばされた。
「きゃあ!?」
「木乃香お嬢様!? ――神鳴流奥義・百烈桜華斬!!」
ともに弾き飛ばされた木乃香を受け止め、片手で幾重もの斬撃を放つ。
低級式神ではそれに抵抗できるはずもなく、斬撃を受けあっけなく紙へと戻ってしまう。
「まったく、世話が焼ける……ん?」
霊力による強化を解除し、体を洗いなおそうと千雨が歩き出すと、浴場の外に生い茂る木々が激しく音を立てて揺れる。
(……今のを見てた奴がいるな、ってことは狙いは近衛で私らへのちょっかいは目をそらすための陽動?)
新幹線に出現したカエルと今現れたサル、この両者を見比べた結果おそらく同じ術者と判断した千雨が導きだした答えだそれだった。
実際は私怨が入ったただの嫌がらせなのだが、千雨が知る由もない。
「せっちゃん、よーわからんけど助けてくれたん?」
「お嬢様……は! い、いけません!!」
ばっと木乃香を離し、外へ逃げようとするが、今の自分の格好を思い出し、すぐさま踵を返して浴場へ脱兎のごとく駆け出す刹那。
なお、彼女は完全に混乱しきっており浴場に千雨がいることが頭から抜け落ち、扉を開けた先にいた千雨とぶつかってひと悶着あるのだが、それはまた別の話。
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