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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット10
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 ジュレー島上層は、ミューズ海岸からジュレットの町を抜けて登った先にある高地である。
 上層を北に向かって街道を進むとキュララナ海岸があり、更にキュララナ海岸の船着場の輸送カヌーに乗ってウェディ族の国ヴェリナード王国の首都ヴェリナード領に行き着く。
 ジュレー島上層は、起伏が激しく、所々岩肌の露出した丘がいくつも連なっているが、緑は比較的に多く木ノ実のなる広葉樹や椰子の木などが生えている為、動物や性格の大人しい魔物などの姿が時折確認出来た。
 懐からバルジェンがチラシを取り出して依頼の丈夫な枝が落ちていないか確認して歩く。
 街道からさほど離れていない木々を選んで、その下に自然に落ちたであろう枝を手に取っては大きさを確かめて、大きさの合う枝を背負い袋に入れていく。

「しかし、中々指定のサイズって無いもんだなぁ。あんまり大きい物を袋に詰めると、個数がそろわねぇし。難しいもんだなぁ」

 上層の天気は良く晴れており、額に汗が滲む。
 丈夫な枝を探して既に3時間は経っているだろうか。
 空腹を感じ始めた為、一本の椰子の木に近付くと両手棍を思いっきり振りかぶって木の幹にフルスイングした。

 バシーン

 子気味のいい音を響かせて椰子の木が揺れ、ぼとりと1つの椰子の実が地面に落ちた。

「よーぅし。金がないなら食料は現地調達に限るね」

 彼が意気揚々と椰子の実を拾おうと屈むと、背後に「ズドーン」とやたらと重たい物が落ちる音がして驚いて振り向く。
 直径2メートルはある丸に近い岩石が鎮座していた。
 さっきまでそんな岩は無かったし、崖の下でもあるまい岩石が落ちて来る要因は考えられなかった。
 考えられるとすれば、この岩石が魔物であると言う可能性だ。
 ひょっとすると、チョウキ達が討伐対象にしているスマイルロックだろうか、と観察していると、ゴロンと半分ほど後ろに転がり目つきの悪い顔が一面に現れた。

「フフ、フフフ、フフフフフフ」

 不気味に微笑んでいる。

「気持ち悪っ! だからスマイルロックか・・・」

 そのまま観察しているが、襲って来る様子は無く、近付かなければ問題は無さそうだった。

「まぁ、近付かなきゃあいいだけなら放置でもいいよな。椰子の実でも割って食べるか・・・」

 放っておいて手近な石に椰子の実を叩き付けようとした時、不意に石がビョンと跳ね上がるやみるみるうちに巨大化してスマイルロックになって落下して来る。
 これには言葉も無く目が点の状態でバルジェンはしばらく呆然としていた。

「よし見なかったことにしよう」

 呟いて手頃な大きさの石を拾って地道に椰子の実を割ろうとすると、その石までもが飛び上がり、スマイルロックと化して「ずどーん」と落下してきた。
 言葉も無く
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