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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット10
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ガチャンっとギアの繋がる音がしてエンジンがかかると、燃料タンクが振動を始めてドルセリンの燃焼が始まった。
どうやら応急処置は上手く行ったようだ。
「マナパスター」
呟きながらミエルが丘の向こうに目をやると、何やら数多くの丸っこい岩が飛び跳ねながら行進しているのが目に入ってきた。
「・・・百鬼夜行?」
小首を傾げてチョウキが望遠鏡を持っているのを思い出し、ドルボードの後ろのステップから屋根に登ってみる。
チョウキも気付いており、望遠鏡を覗いていた。
「あれは何?」
「うむ、スマイルロックの集団のようだな。まとめて倒せば、依頼は達成できそうだが」
「見ていい?」
「ほら、構わんぞ」
チョウキから望遠鏡を受け取り、ミエルもスマイルロックの行進を見てみる。
「不思議」
「そうだな。岩石の魔物は通常、一カ所に留まっているものだ。あんなに元気に動き回るなど、聞いたことがない」
「誰かいる」
「何処にだ?」
「大変」
「うむ、大変に珍しい現象だな」
「追われてる?」
「何!? 人が追われているのか!?」
「いけない」
「うむ助けに行かなくてはならんかもしれんな。ドルボードが走れるかミシャンラに聞いてみよう」
「バルジェン」
「なに!?」
ミエルは呟くなりキャンピングドルボードの屋根から飛び降りると、焚火に駆け寄り脇に置いた独特なフォルムの杖を駆け抜け様に取り上げるとスマイルロックの行進に向かって駆け出す。
スープを作っていたジアーデがびっくりして声をかける。
「ちょ、どうしたにゃ! にゃにをあわててるにゃ!?」
「バルジェン! 追いかけられてる! スマイルロック!」
「にゃにいー!!」
ジアーデもまた、咄嗟に背後に置いていた槍を手に取ると駆け出した。
それを見ていたチョウキもまた、背にした両手剣に手をかけてドルボードから飛び降りる。
「バルジェンが追われているのか!? どう言うことだ!!」
3人が騒いでいるのに気づいたミシャンラが、キャンピングドルボードの窓を開けて見てみると、3人とも一目散に何かに向かっていくのが見えてキョトンとしていた。
「え、どうしたのあの娘達・・・」
しばらく呆然としていたが、みんなの荷物が無造作に焚火の周りに置かれているのを見て溜息を吐いた。
「あの娘達ほんとうに・・・。面倒な娘達ね!」
ミシャンラもまた、ドルボードから飛び降りると側面のスライドドアを開いてみんなの荷物を放り込み、運転席に飛び乗る。
ドルボードの加速レバーを一気に上げてドルボードを旋回させると、たまたま地面から飛び出ていた大きな石に乗り上げる。
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