戦線復帰
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た
それからすこしすると目元の腫れた霞がドアを開け、顔を覗かせた
「もう大丈夫。いいわよ」
「ん、わかった」
重い瞼を擦り、壁から背を離す
すこし落ちかけていた意識を引き戻し、俺は部屋へと足を踏み入れた
「っ、すいません。まだ忘れられなくて」
彼女は俺を見て顔を背ける
「この服か?」
はい、と彼女は消え入りそうで申し訳なさそうに答えた
「すまないがこれは脱げない、今は。だけどな」
さて、と俺は仕切り直して彼女を見据える
「遅れてすまない、"吹雪”お前を迎えに来た」
「こちらこそ、お待たせしました」
「支度が出来たら鎮守府に帰ろう。また吹雪の住むところだ」
「いまの鎮守府がどれだけ変化しているのか。私、すごい気になってます」
無邪気な笑顔で俺を見上げる
「きっと驚くよ。みんなで頑張ったから」
俺は吹雪の頭をわしわしと雑に撫で
「霞、曙。フロントにいるから」
二人にそう告げて俺は三人のいる病室を後にした
フロントに着くなり俺は携帯を取り出し。
幸宏に電話をかけつつ1度外に出る
2コールほどで応答が来た
「幸宏、終わったから待機だ。こっちに来てくれ」
『あいよ、なんか買ってくか?今日は奢ってやる』
「お、そうだな...飛騨牛2頭くらい」
『金額を考えろ』
「適当に酒と飲みもん、あとは買い出し組に頼むよ」
『任せとけ』
そう言って電話が切れる
小さく溜息をついてまたフロントに戻る
すこしフロントでスマホをいじっていると幸宏が到着した
「待ったか?」
「まだ待たされてるくらいだ」
「ならいい」
幸宏は俺の横に腰を下ろす
「なあ」
「なんだ?」
俺は手元に視線を残したまま返事をする
「俺達が、いや...お前の両親が襲撃を受けなかったら、俺らは医学の道をまだ進んでたのかな」
どこか悲しげな様子の幸宏は天井を見上げながら言う
「どうだろうな、少なくとも俺は続けていたかもしれない」
「同じ大学に行って、まだ冗談を言い合ってたかもしれないしな」
果たされなかった未来を夢見てそんな話がすこし続いた
「でもよ、彰人。いまの生活にも満足しているんだろ?」
「当たり前だ、後悔なんてしたくねぇ」
「あんな可愛い嫁さん2人も連れて後悔してたらぶっ殺すとこだったよ」
「はっ、怖い怖い」
軽い冗談も混ぜ合わせ談笑しているとようやく
「終わったわよ」
3人が支度を終えて戻ってきた
「うし、じゃあ帰っか」
「吹雪、礼を言っとけよ」
はい!!と言って吹雪は受付に向き直す
お見送りに出てきてくれた医師と看護師に
「横須賀鎮守府所属、特型駆逐艦吹雪型一番艦吹雪、皆さんにはとてもお世話になりました!!この御恩は一生一片たりとも忘れません!!また誠心誠意頑張ってきます、ありがとうご
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