最終章:夢を追い続けて
第70話「圧倒的。故に天才」
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えてもらった感じです、ね!」
チェス自体は、実戦では何の役にも立たない。
だが、“如何に状況を切り抜けるか”といった、戦略の柔軟性は鍛えられる。
元々才能のない俺は、戦略の柔軟性も足りていなかったからな……。
「なるほど……なっ!」
ギィイイン!
「といっても、分かっていたでしょう!?」
「まぁ、な!」
渡り合う。押し負けない。防ぎ切り、躱し切る。
かつての俺じゃ、到底考えられない攻防を、桜さんと繰り広げる。
「しかし、どうした?お得意のあの連撃は使わないのか?」
「生半可な攻撃では、相殺してくるでしょう?まぁ、楽しみにしててくださいよ……!」
とは言うが、試してみる価値はあるだろう。
……まぁ、全身全霊の切り札ではないけどな。
「っ……ぜぁっ!!」
―――“ナインライブズ”
「こいつ、は……!」
ギギギギギギギギギィイイン!!
「っづぁ……!!」
けたたましい金属音が響き渡り、桜さんは大きく後退した。
それだけじゃない。支障はないだろうが、腕に負担をかけさせたようだ。
「はぁっ!」
「っ!」
追撃を放つ。だが、わかっていたことだ。
あっさりと、それは躱される。
「ぜぁっ!」
「っ……!」
ギィイン!!
躱された所からの反撃を何とか防ぐ。
すぐさま一度距離を取る。
「……さすがだな。今のは、驚いたぞ」
「防ぎきっておきながら、よく言いますね……!」
正直、もう少し効くと思っていた。
直撃は無理だとわかっていても、もっと後退させられると思っていた。
「だが、今のはあの連撃ではないな」
「当然です。あれは俺が切り札とするものじゃない。確かに、俺の持つ技の中でも上位に位置する技です。……が、あれで貴方を倒せるとは思っていない」
「……わかっていて、放ったのか?」
「倒せなくとも、効くとは思っていたので」
少しでも桜さんの体力を削れるのなら、試さない理由はない。
……同時に、これでは倒すことはできないと、確信させられる。
「(俺が考えた技では、通じるのは努力を結集させた連撃の類だけ。他にあるとすれば、同じようにありとあらゆる“想い”を詰め込んだ一撃のみ……)」
早すぎる故に斬撃が同時に見える。……それが俺の切り札となる技だ。
桜さんと束さんを大いに驚かせ、俺の切り札となった技。
それを放つタイミングは限られているし、容易ではない。
……だからこそ、確実に決めなければいけない。
「(それ以外は、全部それに繋げる“布石”にするしかない)」
元々、俺は別に多才じゃない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ