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154部分:ラグナロクの光輝その八
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ラグナロクの光輝その八

「デマか」
「クンドリーと会ったのは公爵とラインゴールドで共闘したあの時だけだ。他にはない」
「そうだったのか」
「私は比較的クンドリーとは縁がない。他の連中とは違ってな」
「俺とも違うんだな」
「卿はまた。特別だな」
「まあな」
 その言葉に顔を少し深刻なものにさせる。
「否定はしねえぜ」
「戦友のことは。何と言えばいいかわからないが」
「それも運命だったんだろうな」
 ジークムントはワインを一杯飲んでからこう返した。そしてまたグラスに注ぎ込む。泡が弾ける音が部屋の中に響く。
「メーロトも俺も。そうなる運命だったんだ」
「そしてクンドリーもか」
「そういやあいつもあいつで謎があったな」
「そうだったな」
 それはジークフリートも知っていた。
「何か。欲していたようだったが」
「何が欲しかったんだろうな」
「若しかすると」
「若しかすると?」
「自由だったのかも知れない」 
 ジークフリートは目の前のワインを眺めながら言った。まだ泡が弾けシュワシュワと音がしている。その横にはチーズがある。
「自由か」
「若しかしたらだが」
「ああ」
「クンドリーもまた。縛られていたのかもな」
「ニーベルングの血脈にだな」
「卿の友人がそうであったようにな」
「そうかもな」
 ジークムントはジークフリートのその言葉に頷くものがあった。
「あいつも。ニーベルングの血脈に縛られていた」
「ニーベルング族はおそらくその血脈に全ての者が縛られているな」
「クリングゾル=フォン=ニーベルングにな」
「そしてそのニーベルングとは何者かだ」
「まだそれは。全くわかっちゃいねえ」
「そうだな」
 ジークフリートはこくりと頷いた。頷いた後でワインを一杯飲む。
「かって帝国軍で元帥だったことだけしかわかっちゃいねえ。経歴も出鱈目だった」
「そうだ、元帥になる程の者がな」
 ジークフリートも言った。
「偽りの経歴により全てを隠していたのか。今思えばそれも当然か」
「ニーベルング族一体何者なんだ」
「それもムスペッルヘイムに行けばわかるかな」
「どうだか。けどあそこに何かがあるのは事実だな」
「おそらくはな」
 二人の目が同時に光った。
「鬼が出るか蛇が出るか」
「見ものなのは確かだ」
「楽しみにしとこうぜ、その時をな。ところでだ」
「どうした?」
「あんたの率いていた海賊はワルキューレっていったよな」
 ジークフリートに問うと彼もそれに応える。
「そうだが」
「何か同じ名前の女達もまた帝国と戦ってるらしいぜ」
「我々と同じくか」
「ああ。けれどその連中は俺達みてえに大所帯じゃねえ」
「というと」
 また問うた。
「九人だ。たった九人で戦ってるらしい
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