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SAO -Across the another world-
四話 不可視の世界
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ても、彼女は前線へは出ずに情報収集をして攻略に貢献していた。情報屋としての気質が抜けなかったのかもしれないが、とにかく彼女は戦うことをなるべく避け、他人に情報を渡して生き残り、そして二年の月日を費やしてあの異世界から無事に生還してきたのであった。
彼女はリハビリが終了したと共に職務に復帰していた。だが、役割的には前までの
SO
(
シギントオフィサー
)
ではなく、今度はレーダー波の解析によって情報収集を行う「
RO
(
ラディントオフィサー
)
」というポジションが宛がわれていた。
専門分野であるSOの、ポストからすれば左遷とも言える配置転換だが、それはそれで仕方が無い事であるから、彼女は再度の配置転換までに実績を残して栄転してやろうと息巻いていた。
だが、運命の歯車はすぐに狂い始めた。それは必然であったのかもしれないし、偶然であったのかもしれない。しかし、仮想世界の生還者の「行動力」に魅せられた者にとっては、必然的な変化であった。
■■■■■
人生なんて、どう転ぶか分からない物だ。栄える方向に転がる事もあれば、逆に墜ちるように転がる場合もある。
それは決して予想出来るものではなく、時の流れに従い、勝手に流れて来て、勝手に自分の運命に干渉してしまう。嫌でもそれをぶつけてくる時間というものは、自分にとって、一種の敵である。
創作物ではタイムマシンなどという便利な物があり、それが現実にあればどれほど良いだろうな、と思う人も居るかもしれない。現に自分もその一人だ。人生が安泰にやり直せるのならば、どんな手段を用いてもタイムマシンを使って過去の自分に邂逅しにいくだろう。だが、そんな便利な物はあくまでも創作物に過ぎない。多分、人類が滅びるまで開発されることは無いだろう。何故なら、時間は、人間が抗う事の出来ない、唯一の力であるからだ。
自分は、あくまでもその抗えない力に翻弄された、大多数の中の一人に過ぎない。しかし、決して無限では無い時間を、十八年も費やして作られた「自分」は、果たしてその時間に見合うだけの価値があるのだろうか。
そんな自問を、答えの無い疑問だ、と牧田は結論付け、一旦頭の中をリセットした。
自分の出自に関する疑問は、事あるごとに頭の奥深くから湧いてくるのだが、出来るだけ無意識の内に応えないようにしている。何故かは分からない。自分の頭は時々主の意思に従わない時がある。先程の自問もその一つだが、先程の自問はいつも通りの無意識の内には何故か消えず、意識して消さなければならなかった。
それもこれも数奇な運命を辿ったのが原因であるのだが、今更過去を変えることなんて出来はしない。開き直って、数奇な運命などは受け入れるまでだ。今は自己の確執なんかに囚われている場合ではない。目標は、未帰還者の救出、ひいてはユーリを助け出す事
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