十五本目
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
なればそれこそ一撃必殺級。
「くく…半減か。うん。半減。普通ならばな」
「なに?」
するとエレンは唐突に俺の頭に手を置いた。
「お前は小さいから知らないだろうが、岩や地面でさえも風によって崩されるのだぞ」
「風化?」
「なんだ知っていたのかつまらん奴だ」
そうか…ヴィラルトは、普通のタイプ相性とは別…いや、一段上のレベルの相性を持つのか。
アリファールによって放たれたさっきの技は確かに飛行…つまり風だ。
岩石は風によって風化して砂と化す。
まるで、自然の摂理を圧縮したような…
刹那、突風が吹き荒れた。
エレンはアリファールを鞘に収めている。
ならば…!
敵の…ロケット団の方を見ると、巨体が空を舞っていた。
「飛竜か…!?」
青い巨体に大きな赤い翼。
空を舞う西洋竜のような姿…
「ボーマンダ…だと…!?」
その背中には、一人の男が乗っていた。
おそらくは、指揮官だ。
ボーマンダはこちらを攻撃する事なく、高度をあげていく。
そして、クルリと反転してこちらに背をむけた…逃げる気だ。
「さっきので風をつかってしまった…
今周囲にある風では届かない……!」
エレンが悔しげに声をあげる。
矢を届かせる事だけならばできる。
だが、ボーマンダはドラゴンタイプだ。
射程ギリギリの矢でダメージを与えられるような存在ではない。
『竜を射ちなさい』
え?
誰かが囁いた気がした。
だけど、周りにはエレンしか居ない上、エレンの声ではない。
『もう一度言うわ。竜を射ちなさい』
まただ。
戦場の喧騒とは違う、落ち着いた柔らかな声。
ドクンと握った弓が脈動した。
まさか…
弓が黒い光を纏っていた。
竜を射て…お前が言ったのか?
いいだろう。射ってやる。
射てるだけの力がお前にあるんだよな?
矢をつがえ狙いをつける。
弓にまとわりついた黒い光が矢に宿る。
矢を離した瞬間、自分の中の何かがごっそりと消えたような気がした。
放たれた矢は、今まで見た事のない速さでボーマンダに迫る。
しかしその側面を掠り、態勢を崩しただけだった。
矢はどこかへ飛んでいき、ボーマンダは態勢をすぐさま立て直した。
「ティグル!なんだ今のは? 私でもヴィラルトでしかあのような光景を目にした事はないぞ…?」
俺にもさっぱりだ。
ただわかるのは…
「この弓の力…だとおもう」
次は…当てる。
再び矢をつがえると鏃に闇が集束する。
「風は私が操る。お前は矢の狙いだけを定めろ」
つがえた矢の隣に銀閃が添えられ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ