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SAO -Across the another world-
二話 戦乙女の失踪
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同じ環境下で育った凛とは今でも仲は良く、SAOから帰還した時に見た凛の泣きじゃくった顔はあれから三ヶ月程経過した今日でも頭の中に残っている。

牧田家に引き取られたのは七歳であり、その一年前から一応施設の近くにある小学校には通っていたが、八王子市にあったその学校に、東大和市から通うには厳しいということで、牧田家から程近いところにある小学校へと転校する形で入学する事になった。しかし、今まで全くと言って良いほど同年代の子供と会話しなかった自分は、皆仲良しがデフォルトの小学校の中では明らかに浮いた存在であった。そんな感じで孤立していた自分を助けてくれたのが、栗原であったのだ。

クラスが一緒であり、家も隣り同士であった栗原とはすぐに仲良くなり、自分が初めて友達の家へ行って遊んだ相手は栗原であった。その頃の栗原は今の様に真っ直ぐ過ぎる程の生真面目な性格では無く、多少なりともどこかまったりとした感じがある少女であった。

他に友達と呼べる者も居なかった自分は、小学校低学年の殆どを彼女の隣で過ごした。今改めて考えれば赤面物だが、自分が栗原家に泊まりに行った際には一緒に風呂に入り、布団の中では一緒に肩を寄せあって寝ていたのだと、彼女の母親は笑いながら言っていた。

中学校も同じ学校へと進学し、いよいよ高校へ、というタイミングで二人ともSAO事件に遭遇し、約二年をあの電子の檻の中で過ごした。通販が開始されて即座に完売したと後に聞いたナーヴギアの通信販売であったが、その時は何も知らないまま運よくナーヴギアの通販開始時刻に大手通販サイトにアクセスし、ナーヴギアを購入出来たのを幸運だと思っていたのも束の間、死の危険が常時付きまとうデスゲームへと放り込まれ、結局は購入してしまった事を不運だと嘆く羽目になった。

「アインクラッド」と呼ばれたSAOの舞台であるその鋼鉄の城でもほぼ隣り合わせで過ごし、何とか現実世界に帰還するために最前線を駆け回った。その時の精神的な疲労もあるのか、栗原の性格は変わっていき、今の様なクールで若干ドライな所が出来始めたのもSAOの中での事だ。結局、自分に貴重な経験と大きな絶望を与えたアインクラッドは、やや変則的な終焉を迎え、デスゲーム開始から約二年半後にクリアされた。

その後、現実世界で久しぶりに再会した栗原は、見た目こそ少し痩せたくらいであったが、性格は活発さが鳴りを潜め、静けさが全面に出ていた。牧田に対する呼び名も名前の玲をもじった【れー君】から普通に【牧田君】へと変わり、牧田に対しても言葉は常に敬語だ。

そんな栗原は、現在リハビリを終え、また牧田家の隣に戻ってきていた。今居る自分の部屋の窓から、彼女が居る部屋が見えるくらい、それどころか渡って入れるくらい、両家の距離は近く、会おうと思えばいつでも会えることが出来るくらい
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