停止教室のヴァンパイア
三大勢力会議
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顔は非常に清々しいもので、その瞳には闘いへの渇望心は既に存在していなかった。
黄金の極光の光に呑み込まれたコカビエルの脳裏に浮かぶは走馬灯の様に駆け巡る数多の過去の記憶。
過去から現在へ。
全ての記憶が目まぐるしい勢いで瞼の裏側に駆け巡り、己の人生の軌跡を確かなものにした。
そして此方へと微笑みながら優しく手を差し出すかつての愛する戦友達。
間違いはあったのだろう。
譲れないものもあったのだろう。
すれ違いやどうしようもない程の葛藤、苦悩、憎しみも有していたのだろう。
だがそこに救いはあった。
エクスカリバーの聖なる光に断罪され、主の光を思い出し、戦友達の思いを受け止め、コカビエルは悔いも無く消滅したのだ。
その後、教会組のゼノヴィアとイリナの2人はどこか晴れ晴れとした様子で聖剣を回収し、帰還していった。
真のエクスカリバーの力を解放した聖剣はあの極光の光の奔流を世界に知らしめた後に無残にも崩壊。
刀身はバラバラに砕け散り、偽作のエクスカリバーはその身を崩壊させた。
彼女達が回収したのはその場に寂しく散らばった聖剣の因子を含んだ結晶。
文字通り彼女達の任務は現地に赴いた当日に終わりを迎えたのだ。
「…。」
そしてエクスカリバーを振りぬいたウィスもコカビエルと同じ様に過去を回顧していた。
あの黄金の光はウィスの数多の記憶を刺激し、ウィスを深い感傷へと浸らせていたのだ。
ウィスが無意識の内に目を逸らしていた彼、彼女達の存在を。
故にコカビエルを撃破したウィスは達成感を感じることはあれど、喜ぶことはなくただひたすら空を見据えていた。
そんなウィスは現在、波風晃人と名乗り駒王学園で学生生活を享受している。
左手の掌を自身の頬へと乗せ、その紅き双眸で窓越しに外の景色を眺めていた。
「…。」
今、教室では授業が執り行われている。
だがウィスの意識はそこに無く、ただ呆然と外の雲景色を見据えていた。
最近、妙な気配と力を感じる。
どこか懐かしく、自身の過去を回顧させるような漠然とした何かが。
日に日にその不可思議な感覚は強くなってきているのも事実。
残念ながら依然としてその謎は解けていない。
だが決して良からぬことの前兆というわけではなく、どこか自身と深く関係している気がするのだ。
それと同時に何故か背中に強烈な寒気も感じている。
あの悪寒と寒気、まさかね…。
ウィスは確信にも似た答えを抱きながらも、思考を放棄する。
ウィスの脳裏に浮かぶは朱槍を有するある1人の女性。
ただ今は彼女と言葉を交わしたい想いで一杯であった。
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