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SAO -Across the another world-
ACT.1 The another "Fairy Dance"
一話 労働者の背信
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あり、茅場の所属していたゲーム会社、アーガスは莫大な補償費用を抱え解散し、レクトが吸収。今では旧SAOのサーバーは、私が勤務しているレクトが管理している。

事件を起こした茅場本人も死亡している為、彼を相手にした訴訟は起きず政府はアーガスの払いきれなかった保証を国庫から支出し、国内外に話題が拡散した事態の火消しを図っていた。

だが、未だに事態は終息していない。

事件解決から二ヶ月が経過したが、未だに意識が現実世界に帰還していないプレイヤーが二百人近く居た。そのプレイヤー達は生還した者と対比され、「未帰還者」と呼ばれていた。現在SAOサーバーの保守点検を行っているレクトのホワイトハッカー達がサーバー内を調べたらしいが、何処にも異常という異常は見つからず、未帰還者に繋がる手掛かりは掴めていないのが現状だった。

「えっ、本当に?」

「ああ....」

ALOにSAOの未帰還者が居る。それが本当だとすれば大事だ。何故SAOとは運営も開発者も別のゲームであるALOに未帰還者が入っているのか。自分も含めて、技術・運営スタッフはなんで今まで気が付かなかったのか。焦りや後悔等、私の頭の中には様々な感情が渦巻いていた。

「アンドリューさん、どうすれば良い?」

「とりあえず、黒幕的な奴を探し出さないと駄目だな。レクトの運営するALOにレクトが管理しているSAOのプレイヤーが居たって事は、レクト内にその黒幕的な奴が居ると思うな」

「そだね....取り敢えず、他の社員に気付かれない程度に探りは入れてみるよ。でも、なんでこの画像が私の元に来たんだろう....?」

「発信者をツールで逆探しなかったのか?」

「やったんだけど、相手のファイアウォールが強くて無理だった」

「そうか....まあ取り敢えずこれでも飲め」

アンドリューはグラスにカルアミルクを作って注ぐと、私の前のカウンターへと置いた。カルアミルクはここに飲みに来た時にいつも頼む飲み物であった。

出された琥珀色の液体を、一気に飲み干す。元々酒には強い方だ。特に何も感じる事無く、グラスを空にした。

「ごめん、強いお酒ある?アブサンのリキュールでもスピリタスでも良いよ。なんか強いお酒が無いとやってられないね」

「ここじゃテキーラが限界だよ」

じゃあそれで良い、と投げやりに返事を返し、私はカウンターへと突っ伏した。いくらなんでもおかしい。なんでALOに未帰還者が居るのか。その未帰還者に似ているそっくりさんでは無いのか、と酩酊状態の頭から出てきた疑問は事実を否定する物ばかり出てくる。

それもそうだ。運営も、開発も全く違うゲーム同士に接点は無い。かたや世界最大級のMMORPGであり、かたや四千人もの人命を燃やし尽くした、本当のデスゲームだ
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