閑話2 ある姉妹のいさかい(後編)
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ことだ。
もう、激しい憎悪は無い。
ただ、心配だった。
組織と彼、仕事と家族、その二つを並べた時に、組織と仕事を取りそうな姉が。
だから、私が止める。
私と、私が改良を重ねた日本製IS打鉄の最新強化型機体、『打鋼』で。
ああ、でも仕方ないとはいえ…………
私もヒカルノさん達みたいに赤ちゃん欲しいなあ。
たまに家に上げてもらう時に合わせてもらう、プニプニお肌の赤ん坊『達』を思い出して、簪は優しい笑みを浮かべる。
私もって言っても、流石に高校在学中は厳しいし、ヒカルノさん達みたいな真似はなあ。
本人達から聞いた、『太郎にいとの』赤ん坊を作った経緯を思い出し、半ば呆れたため息をつきながら、簪は淹れてもらったコーヒーをすすった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
とある日、篝火は珍しく日本へ戻った太郎と共に赤ん坊の面倒を看ていた。
おしめを変え、最近食べられるようになった離乳食を食べさせる。
普段あまり見られない満面の笑みを浮かべる太郎を見ながら、篝火は静かに呟いた。
「いやー、優しい旦那と子供に囲まれるとか、幸せですなぁ」
その言葉に太郎はジト目で返した。
「その言葉には同意だが、やり方を考えろ。なんで女三人がかりで嵌められなきゃならないんだ」
その言葉に、手をひらひらさせながら、軽く彼女は返す。
「なんか、白騎士事件後から、思い詰めてたからさあ。ほら、子供の顔を見たら元気になるかと思って」
子供をあやしながら、努めて平静な声で太郎は返す。
「だからって方法を考えろ!○ンドームに細工したり、そういった系統の薬を飲んだりして、三人同時に懐妊した時には心臓止まったぞ!」
「いやあ、あの当時コンタクトとれる三人で話し合ったんだよ。喧嘩すると太郎の負担になるから、三人でスクラム組もうって」
「俺の都合は!?初めて親からバールで殴られかけたんだが」
「どうせ死なないから良いかなって」
「軽いわマジで…………ちなみに一つだけ疑問なんだが」
「なーにー?」
言葉の応酬をした後、ふと太郎は今まで疑問だった事を問うてみた。
「いや、千冬は親いないし、束の両親が怒らない理由もうっすら分かるんだが…………なんでお前の両親、怒らなかったの?」
その問いに篝火は悪い笑顔を浮かべながら、簡潔に答えを述べた。
「貴方へのハメ技、教えてくれたのお母さんだもん」
「お、お義父さぁん!」
今日も、山田家は平和だった(強弁)。
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