十三本目
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「娘一人の為に無茶をするものだ全く」
エレンの声が、聞こえた。
彼女はへたり込む俺達を見下ろして、呆れた顔をしていた。
その手には、銀閃。
先の風は彼女の起こした物らしい。
「恩をきせるつもりはないが…私が居なければ、お前達は大怪我を免れなかったぞ?
打ち所が悪ければその娘はともかくお前は死んでいたぞ」
その娘はともかく…か。
確かにティッタは人の姿をとっているがポケモンだ。
あれくらいで死にはしないだろう。
でも、そういう問題ではないのだ。
「まぁ、宛にしてたよ」
ティッタと共に立ち上がり、バルコニーを見る。
バルコニーの高さは…そうだ。
「ロケット団が屋敷の中にいる。追え」
「ルーリック」
「御意に」
ルーリックが兵を引き連れ、屋敷に突入した。
「ティグル様ぁ…」
ティッタの声が、泣いている声が聞こえた。
「悪い待たせた」
「信じてました。きっと、帰って来てくださると」
ティッタを抱き締めようとして、その腕に抱かれた弓が目に入った。
「どうしてそれを…?」
「これは、ティグル様が持っていた唯一の物と聞きましただから…」
はぁ…まったく…
「そんなのは放っておいても」
「そんな事は出来ません!」
俺の言葉を遮って、強い言葉が放たれる。
「ティグル様は帰って来ると仰いました!
だから、だから逃げるなんて出来ません!」
知ってはいたが…頑固だなぁ…
「元気な娘だな。そう言うのがお前の好みなのか?」
俺達を見下ろすエレンの声に、ティッタが顔を上げた。
「こ、この方達はいったい…」
ティッタの視線の先には、エレンと配下の兵達。
「彼女はエレン。俺を助けてくれた人だ。
話すと長くなるが、色々あったんだ」
刹那。風が鳴った。
「っ…!?」
ティッタを狙う風切り音。
出来るか…? いや!やる!
ティッタをの顔の横。
置いた手を、握る。
「っ……!」
対ポケモン用ボウガンの矢が、掌を削る。
直ぐ様弓を構え、普通より幾分短い矢をつがえ、射る。
射た先で呻き声が上がった。
「捕らえろ!」
俺の声に、数人が向かう。
弓を持つ手にも鋭い痛みが走った。
「ティグル様」
ティッタがスカートの布を躊躇いも無く破り、俺の右手に巻き付ける。
「申し訳ありません。あたしには、こんな事しか…」
「いや、十分だ。ありがとう」
ティッタの頭を撫でる。
「怪我をしたのか?」
「いや。問題ない。やれる」
「そう来なくては。そら、敵の増援だ」
見れば十数名の黒ずくめが
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