第35話 カウンターパンチ
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で、帝国軍は増援を繰り返してイゼルローン回廊が艦艇で埋まるでしょう。そうなれば、元々数において絶対数が少ない我が軍がジリ貧になるのは必定です。此処は何としても作戦を廃案にしなければ成りません」
リーファの言葉に皆が頷き、シトレが対案はあるのかと聞いてくる。
「中佐、何か対案はあるかね?」
「はい、有ります」
その言葉に期待で目を輝かせる参加者。
「シトレ閣下の幼なじみはレベロ財政委員長でしたね?」
「よく知っているな」
「蛇の道は蛇ですよ」
「でレベロがどうしたのだ?」
「レベロ氏の盟友に人的資源委員長のホアン・ルイ氏が居ます。このお二人に協力して頂こうかと思います」
「レベロの性格では簡単に協力してくれるとは思えんが」
「いえ協力しなければ成らなくなるのですよ」
「どう言う事だね?」
「まさか、脅迫でもするのかね?」
「違いますよ。エル・ファシルの戦いを利用するんですよ」
「エル・ファシルを???」
「第5次イゼルローン要塞攻略戦でイゼルローン要塞は大被害を受けたようです。その為に帝国軍は艦隊をオーディンから増派しているようです。それだけイゼルローンを攻められるのが嫌なわけです。その為に、我々に攻められない手を尽くそうとするでしょう」
「確かにそうだね」
ヤンが久々に発言した。だから非常勤参謀と言われるのも判る気がする。
「では、具体的にどうすれば良いかですが、エル・ファシルで帝国貴族を多数捕虜にしています。彼等を含む帝国の捕虜と帝国に囚われている捕虜と連れ攫われて農奴にされている同盟市民を交換するのですよ。普通であれば帝国は捕虜交換や農奴返還をしないでしょう。
しかし現在の情勢では少しでも同盟の興味をイゼルローンから離したいはずです。更に貴族の捕虜を返還すると成れば、親族が圧力をかけて捕虜交換を実現させようとするでしょう。捕虜交換で捕虜と拉致被害者が帰国すれば、戦争するよりも遙かに多い支持をたたき出せますよ。更に帰還兵を復員させれば、産業全体に人材を送ることが出来て、国力増進も可能となります」
「なるほど、一石何鳥にもなるわけだな」
「そうです、捕虜を帰還させる事で、捕虜に対する予算が浮きますし、帰還兵が税金を納めてくれますので財務委員長も納得するはずです。更に人材が社会全体へ回るわけですから、人的資源委員長も納得でしょう。そして他の最高評議会の委員長も数百万の支持率UPを一人の犠牲者も出さずに行えると判ったら果たして、出兵案に賛成するでしょうか?」
その言葉を聞いて、皆が驚く。
「確かに、賛成はしないだろうな」
「そうです、特に自分の地位を狙う、副議長の提案を議長があえて可決するかどうかですが、多数決で決まる可能性を考えたら、捕虜交換を指摘した方が良いでしょう
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