第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
ナジミの塔
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だけで、ほかに怪しいところなど何も見当たらなかった。
取り立てて怪しいと言えば、上に上がる階段が二箇所あったということだけだ。
「どうするの? どっちに行く?」
「少し黙れ。今考えてる」
何を考える必要があるのだろう。たとえ階段の先に罠があるとしてもユウリなら余裕で回避出来そうだし、私たちの身を案じて慎重に行動なんてことも性格的に考えられない。
ともあれユウリが必死に考えてる中、こっちが勝手に行動するわけにもいかない。後で絶対文句言われるに決まってるもの。
ただここでぼーっとしてるのも性に合わないので、暇つぶしにシーラとおしゃべりでもすることにした。早速シーラに話しかけようと声を……ってあれ?
「シーラ? どこ行っちゃったの?」
そばにいたはずのシーラがいない。また一人でどこかに行ってしまったんだろうか!?
「シーラ!! おーい、どこー?!」
「ねーねーミオちん、上すごいよー!!」
「シーラ!?」
壁の奥から聞こえてくるのはシーラの声だ。方向からしてここから遠い方の階段のようだ。
「ユウリ。シーラ先に行っちゃったよ?」
と、声をかけるも、考えに没頭してるのか反応はなし。
仕方がないのでほっとくことにした。薄情と思われても仕方ない。レベル30の勇者様ならきっと大丈夫だ、うん。
私はシーラの後を追って階段を上った。上った先―――4階は周囲に壁がないため屋上のようになっており、その中央に小さな建物がぽつんと立っていた。
シーラはその建物の前にしゃがみこんで何かをじーっとみていた。
「どうしたの、シーラ? 何かあったの?」
「あそこの柱の向こうに、誰か倒れてる」
「え!?」
私は急いでシーラの言う場所まで走り、思わず立ち止まった。倒れていたのは、私とそう変わらない年の男の人だったのだ。
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