第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
ナジミの塔
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開けちゃって、いいんだよね?!」
「いーんじゃない? 宝箱も取って〜♪って言ってるよ」
シーラの同意により、私は宝箱を開けることにしろた。恐る恐るそれに近づく。あともう二、三歩で届く―――そのとき。
ばかっ。
足元の感覚が、急になくなった。そして、突然足元にぽっかりと空いた闇の中に、私は吸い込まれていく……はずだった。
「って、あれ?」
なぜか身体が宙に浮いたままブランコのようにゆらゆらしている。
どういうことなんだろう。そう思って上を見上げてみた。すると、顔を赤くして歯を食いしばっているシーラの姿が見えた。よく見ると私の服のすそを思い切りつかんで引っ張りあげようとしている。
「シーラ!!」
「う〜〜〜、ミオちん落ちるのやだよ〜〜〜!!」
私はシーラの決死の行動に、はっと我に返った。意外にも冷静に判断した私は体勢を立て直し、何とか無事に元の場所に這い上がることができた。
「うわ〜〜ん!! ミオちん助かってよかったよ〜〜!!」
そう泣きながら飛びついてきたので、思わず私も涙腺が緩んでしまった。
「ありがとうシーラ!! シーラがいなかったら私大怪我してたよ……!」
そう言って私たちは、お互い強く抱き合った。そしてふと疑問に思う。
「でもなんでこんなところに落とし穴なんかあるんだろ?」
「む〜、わかんない。きっと誰かのイタズラだよ!」
イタズラにしては手が込んでいる。なにしろ床と落とし穴の境目がわからないように似たような色の石でごまかしているのだから。
「そうだ、宝箱は?」
私は落とし穴の反対側に回り、今度は慎重に宝箱に近づいた。恐る恐る宝箱を開けるが、今度は何も起きない。
中には、薬草が入っていた。
「なんだぁ。これだけ苦労したのに薬草一個なんて……」
私ががっくりと肩を落としていると、別行動をしていたユウリがやってきた。
「なにぼさっと薬草握り締めてるんだ。何もないのなら早く上の階に行くぞ」
ユウリのいつもと変わらない様子を見て、私は疑問に思った。
「あれ? ユウリは落とし穴に引っかからなかったの?」
ユウリは心底あきれたような表情を、最小限の動きで私たちに見せた。
「俺があんな子供だましの罠に引っかかるとでも思ったのか? お前らと一緒にするな」
う〜〜ん、本当に引っかかってただけに何も反論できないのが情けない。
「こっちは落とし穴に爆竹に煙玉だった。・・・ったく、どこのガキだ、こんな馬鹿げたものばかり仕掛けやがって……。これなら魔物のほうが何倍もましだ」
常に不機嫌そうな顔をしているユウリが、今はさらに機嫌を悪くしている。また爆発させるとか言わなきゃいいけど。
結局2階は罠と宝箱しかなかったので、3階に向かうことにした。けれど、3階にも同じような仕掛けがしてあった
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