第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
ナジミの塔
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と、しっかり念を押してくれた。ホントユウリって、いい性格してるよ。
そして翌日。ぐっすり眠っていたシーラを揺り起こし、急いで仕度を済ませたおかげで、ユウリより先に部屋を出ることができた。
それなのにユウリは何も言わず、そのくらい当然だ、と言わんばかりの態度で先に宿を出た。
「ふぁあぁ〜ぁ。あーよく寝た♪」
後ろでシーラがのんびりとあくびをかみ殺しながら歩いている。バニースーツにウサギの耳、おまけにものすごくかかとの高いハイヒールを履いている姿は、この村ではものすごく珍しいらしく、村人がすれ違うたびにシーラのほうをじっと見つめている。
でもきっとバニーガール姿じゃなくったって、あんなにかわいらしい顔立ちをしているのだから、町行く人ならだれでも振り向くかもしれない。
ふと、何でシーラはあんな格好をしているのかといまさらながら疑問に思ってしまう。
聞いてみようかと決心しかけたが、ユウリが急に歩を早めたので気がそっちに行ってしまった。
「なにのろのろ歩いてんだ鈍足。早く行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。シーラがまだ……」
「あたしならここにいるよ〜ん」
声のしたほうを振り返ると、今まで後ろに歩いていたシーラが、いつのまにかユウリの前を走っていたのだ。
私は彼女の意外な脚力に心底驚いた。あんなハイヒールでよく走れるものだ。
そんな調子で先を急いだもんだから、結構かかると思われていた道のりも半日足らずで目的地についてしまった。
村人の話では、途中に洞窟があって、そこから塔の内部へと続いているらしい。聞いたとおりの道を進み、何度か魔物にも出くわしたけどユウリが一掃してくれたおかげで難なく洞窟を抜けることができた。塔の内部は洞窟とは違い、うまく日の光が入る構造になっているのか、かなり明るい。
ナジミの塔は昔からあると言う割にはあまり古ぼけた感じはしない。
「なんか……意外ときれいなんだね……」
隣で何気なくつぶやいた私の言葉に、ユウリは奇妙なものを見るかのような目つきで私のほうを向いた。
「お前……。盗賊の棲みかに向かってなんて間抜けな感想を漏らしてんだ」
「だって……。なんかすごく掃除が行き届いてるんだもの。普通こういうところって、もっと薄暗い埃だらけの建物とか、傷だらけの壁がいっぱいあるところかと思ったんだけど、ここはぜんぜんイメージと違うね」
「まあ確かに、最初に入った洞窟と言い、不自然ではあるな」
珍しく意見があった気がする。ユウリは腑に落ちない顔で塔の内部を見回した。
「ねぇねぇ、あそこにベッドがあるよ〜♪」
そういうとシーラは、誰よりも早く塔の中に足を踏み入れ、テンポのいい足音を立てながら奥へ進んでいってしまった。
「あの馬鹿……!」
「あぁっ、シーラ!!」
あわてて
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