第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
ナジミの塔
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ど。
「残念だけど、この村にはそういうのないみたいだね」
「え〜〜!? ショック〜〜〜!! あたし一日一本はお酒飲まないと死んじゃうんだよ〜〜!」
「いや、そんだけ飲むほうが身体に悪いと思うけど……」
「ザル女のたわごとなんぞ放っとけ。それよりこれからどうするか考えるぞ」
「ざる? 何それ?」
「あれー? ユウリちゃんがそんな言葉知ってるなんて意外ー! いーけないんだいけないんだ〜」
「お前に言われたくない!!」
そういってユウリは逃げるシーラを追いかけ始めた。それを眺めながら私はいまだに「ざる」の意味について考えていた。
やがて日が暮れ落ち、ひんやりとした夜の空気に変わりはじめたので、ひとまずここは宿を取って、翌日行動に移すことにした。
宿についてからもシーラは「お酒がない」と言って、お風呂と夕食を済ませたあとすぐに部屋に戻り、早々と眠ってしまった。
一方私はと言うと、食事が終わった後ユウリに呼ばれて、ユウリが泊まる部屋で明日の予定を決めることになった。
「さっき村人に聞いて回ったんだが……」
実はあれから私たちはふたたび聞き込みをしてたんだけど、ユウリが聞いた村人の話では、この村からみて南西の方角に、『ナジミの塔』と呼ばれる塔が立っているらしい。
そこには昔『バコタ』という盗賊がいたのだけれど、ある時アリアハンの兵士に捕まってしまった。彼が捕まる直前、仲間にとあるアイテムを渡したのだが、そのアイテムを持っている人物がナジミの塔にいるらしい。
何でもそのアイテムと言うのは、解錠を得意としたバコタの技術をすべて結集させたもので、名を『盗賊の鍵』といい、ちょっと複雑な構造の鍵がかかった扉なら簡単に開けられるという。そのため盗賊たちの間ではのどから手が出るほどほしいレアなアイテムなのだそうだ。
「てことは、その盗賊の鍵があればあそこの家の鍵も開けられるってこと?」
「ああ。呼んでも出ないのならこっちから上がりこむしかないだろ」
それってつまり不法侵入になるってことなんじゃないのかな?
「まあもし手に入らなくても家ごと呪文で破壊すればいいしな」
……不法侵入なんてかわいいもんだよね。うん。
「あのウサギ女にも伝えとけ。明日は『ナジミの塔』に行くとな」
「あ、うん。……でもさ、皆が欲しがりそうなそのアイテムを、そんな簡単に私たちにくれるかな?」
「そんなの、倒すか脅すかして奪えばいいだろ」
もうどっちが盗賊なのかわからない。
結局明日の予定はユウリの独断で決定し、後は特に何も話すこともないまま、会議はこれでお開きとなった。
部屋に戻る際にユウリが、
「ナジミの塔周辺は古くから魔物が住み着いているらしいし、戦闘になったらちゃんと戦えよ。足手まといが二人もいたら俺が疲れるだけだからな」
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