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136部分:ヴァルハラの玉座その十七
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ヴァルハラの玉座その十七

 帝国軍はその圧倒的な数を誇示するかの様にそこにいる。だがジークフリートの不敵な笑みは彼等を目の前にしても変わることはない。
「撃て!」
 射程に入ると攻撃を指示する。ビームとミサイルが一斉に放たれる。
 それを受けて帝国軍の艦艇が何隻も炎と化して消える。忽ちその陣が崩れる。
 だがここで妙なことに気付いた。帝国軍はその崩れた陣をまともに修復出来ず、その反撃もまばらなものであったのだ。
「!?妙だな」
「これは一体」
「これもわかっていたことだ」
 ジークフリートはそのまともに動かず、反撃も加えない帝国軍を見てこう言った。
「どういうことですか、首領」
「わかっていたとは」
「答えはあの惑星にある」
「あの惑星ですか!?」
 ジークフリートが指差したのは第七惑星を指差した。そこに答えがあるというのだ。
「あの惑星は超惑星なのだ」
「超惑星」
「そうだ、あの星からは極めて強力な重力が発せられている」
 これはもう言うまでもないことであったがジークフリートはあえて言った。
「その為操艦が容易ではない」
「ですが我々は」
「我々にとっては違う」
 だが彼はそれは否定した。
「我々が進んできた星系はどれも複雑な宙形だった。超惑星も無数にあった」
「確かに」 
 ワルキューレが活動を行って来た場所は何処も困難な宙形を持つ星系ばかりであった。超惑星もあれば超新星もブラックホールも存在した。磁気嵐もアステロイド帯もあった。だがその様な場所も彼等にとっては遊び場である。その差が如実に現われたのだ。
「だから超惑星も問題にはならないのだ」
「つまり操艦技術を衝いたのですか」
「そうだ」
 ジークフリートの返答は強いものであった。
「例え三倍の敵が相手だろうと動けなければ問題ではない」
「それではまずはこのまま敵軍を突破する」
 彼は次の指示を下した。
「それから反転し後方から攻撃を繰り返す。いいな」
「ハッ」
「了解しました」
 部下達はその言葉に従う。
「その間に友軍もやって来る。いいな」
 彼は自分達だけで戦いを決めるつもりはなかった。他の艦隊が来ることも読んでいたのだ。
「もっともそれまでに戦いの趨勢が決まっているかも知れないがな。少なくともそのつもりで攻めるぞ」
「はい」
 ワルキューレはハーゲンの軍勢をまずは突破した。そして反転し次の攻撃に移る。
 二度目の攻撃に対しても帝国軍はまともな反撃を加えることは出来なかった。為す術もなくやられていく。そして二度目の突破が行われた時にワルキューレの援軍がやって来た。
「右から一個、下から一個です」
「よし」
 ジークフリートはその報告を聞いて頷く。既に帝国軍はその三分の一を失っていた。数的にも有利になっ
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