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130部分:ヴァルハラの玉座その十一

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ヴァルハラの玉座その十一

「それよりもだ」
「はい」
「帝国軍は今何処にいるのだ」
「ロストクまであと二日の場所です」
「二日か」
「どうされますか?」
「我々がここに来ているのは知っていると思うか」
「おそらく知らないかと」
 クプファーは答えた。
「首領の艦隊はまだ惑星占領に専念していると見ているでしょう。その証拠にこちらに急行しております」
「ここにいる艦隊がまだ一個のうちに占領する為にか」
「おそらくは」
「よし、では先手を取れる」
 ジークフリートはそれを聞いて笑みを浮かべた。勝利を確信した笑みだった。
 そのうえで指示を出す。その動きは素早かった。
「クプファー」
「はい」
 クプファーがそれに応える。
「そのまま艦隊を率いてくれ。よいな」
「私は何をすれば宜しいでしょうか、その艦隊で」
「星系防衛にあたってくれ」
「はい」
「場所はカッセルとゲッチンゲンの間だ」
 この星系の第四惑星と第五惑星である。丁度今二つ並んでいるのだ。
「その間に布陣してくれ」
「わかりました」
「私はその時に動く」
「どうされるのですか?」
「いつもの様にだ」
 それには応えない。ただ不敵に笑うだけである。
「いいな。いつもの様にだ」
「わかりました。それでは」
「くれぐれも頼むぞ。ただこちらのことは勘付かれないようにな」
「はい」
「それだけ気を着けてくれ。では」
 ジークフリートはクプファーと別れた。彼等は個別に行動を取ることにした。
 二日後帝国軍の二個艦隊がロストクにやって来た。クプファーはそれに対してジークフリートの言葉通りカッセルとゲッチンゲンの間に布陣した。
 それを聞いた帝国軍は二手に分かれた。前後からクプファーの艦隊を討とうと動きはじめた。
 その動きはジークフリートにもわかった。彼はそれを見てすぐに動いた。
「まずは後方の艦隊からだ」
「はい」 
 参謀の一人であるシェンクがそれに頷く。
「今どうしているか」
「大きく迂回してクプファー提督の艦隊の後方に回っております」
「うむ」
 モニターにロストク星系の星図が映し出される。そこに惑星とそれぞれの艦隊も映し出されていた。
 見れば帝国軍は赤、ワルキューレは青で現わされていた。赤い艦隊の一つがクプファーの艦隊の後ろに回り込もうとしているのがはっきりと描かれていた。

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