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127部分:ヴァルハラの玉座その八
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ヴァルハラの玉座その八

「はい。そこから姿を消して今ではローエングリン=フォン=ブラバント提督に追われているそうです」
「帝国の者なのか?」
「噂によると。帝国には他にも動きが見られます」
「今度は何だ」
「またブラバント提督と関係がありますが」
「ふむ」
 それを聞きながらブラバント家の影響力の強さを再認識していた。ブラバント家はかっての第四帝国において名門として知られ、多くの重臣を出しているのだ。
「彼の配下のジークムント=フォン=ヴェルズング殿が独立しました」
「独立!?」
「はい。一個艦隊をブラバント司令より借り。メーロト=フォン=ヴェーゼンドルクの軍を追っているそうです」
「彼も彼で動いているということか」
「どうやら」
「彼等もまた帝国と対立しているのだな
「はい」
 シェローは答えた。
「そしてカレオール博士も軍を動かしはじめたそうです」
「銀河の至る所で帝国に対して反撃の狼煙があがろうとしているな」
「これが狼煙に終わらなければよいですが」
「わかっている。我等も動かなくてはな」
「はい」
「まずは周辺星系を抑えていく」
 彼はその第一段階として勢力伸張を決定した。
「それにより力を蓄え次には戦力を整える」
「戦力を」
「五個艦隊程あればいいか。それで攻勢に出るぞ」
「攻撃目標は何処でしょうか」
「ラインゴールドだ」
 ジークフリートは答えた。
「あの星系に帝国軍の大軍が集結及び駐留しているという。まずはあの星系を陥落させる」
「そしてそれからは」
「まずはそれからだ」
 その次の段階はまだ言わなかった。
「それから全てがはじまる。よいな」
「わかりました」
「ではすぐに行動に移る」
(それからだ)
 彼は指示を出しながら別のことを考えていた。
(ヴァルハラに行くのは)
「全艦出撃」
「はっ」
 そこにいた全ての部下達がそれに応える。
(ヴァルハラにこそ私の運命がある)
「中立星系は話し合いを主とせよ」
 彼は考えとは別の言葉を出し続けていた。
「友好星系はそのまま交流を続ける」
「はい」
(そこで私の全てがわかる。そして)
「武力行使は敵対星系だけにせよ。帝国と関係のある星系だけをだ」
「中立星系には武力を行使されないのですか?」
「まずは帝国と関係のある星系だけだ」
 彼はまずは敵対星系にだけそれを絞ることにしたのだ。
「彼等を陥落させていけばいずれ中立星系の方からこちらにやって来るだろう。例え話し合いに応じなくともな」
「わかりました。それでは」
「では行こう」
 ジークフリートはマントを翻して言った。
「帝国との戦いに」
「はっ」
(そして私の運命を知る為に)
 ジークフリートは帝国との本格的な戦いに突入した。
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