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126部分:ヴァルハラの玉座その七

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ヴァルハラの玉座その七

「若しかするとだ。彼等はその為にここに来たのかもな」
「その何かを得る為に」
「そうかもな。それによってはこれから大きく動く」
「大きく」
「私も公爵も」
 戦場を離脱したタンホイザーにも言及する。
「大きな運命の中にいるのかもな」
 その時パルジファルの言葉を思い出した。そういえば彼はあの時自分達を合わせて七人の男が運命に誘われていると言っていた。若しかすると。そう思ったのだ。
「ではシュヴァルツブルグに撤退だ」
 彼は言った。
「もう帝国軍もいない。よいな」
「はっ」
 こうしてワルキューレは本拠地へと戻った。そこにおいて暫くは情報収集に入った。次の勢力伸張に備えてた。
 情報収集によってかなりの情報が入っていた。そのどれもがジークフリートにとって非常に興味深いものであった。
 まずはニュルンベルグであった。
「竜によってか」
「はい」
 報告をする情報参謀のシェローが答えた。
「ファフナーという生物兵器です」
「それによりニュルンベルグに破壊されたのだな」
「シュトルツィング執政官は為す術もなかったそうです」
「あのシュトルツィング執政官がか」
「はい」
 シェローは言った。これはジークフリートにはにわかに信じられないことであった。
 ヴァルターは切れ者として知られている。その彼が為す術もなかったというのだ。信じられないのも道理であると言えた。
「帝国はそうした兵器も持っている」
「はい」
「惑星ごと敵対勢力を滅ぼしてしまうような。そういえばバイロイトの崩壊も似ているな」
「では」
「あれも。おそらくはそのファフナーによって行われたのだろう」
 彼にはそれが読めていた。
「そして今後それにより敵対勢力を消すことも予想される」
「では」
「そうだ。このシュヴァルツブルグも例外ではない」
 彼は述べた。
「来るかも知れない」
「ではそれへの備えとして」
「多くの基地を設けておこう。このシュヴァルツブルグ以外にもな」
「はい」
「それがそのまま勢力拡大にもなる。どの道行わなくてはならないな」
「少なくとも今の一個艦隊規模では限度があるかと」
「うむ」
 ジークフリートは頷いた。
「最低五個艦隊だ」
「はい」
「それだけの数が欲しい。では勢力伸張は予定通り行う」
「わかりました」
「他には情報はあるか」
「クンドリーという女に関してです」
「クンドリー」
 はじめて聞く名だった。彼はその整った眉をピクリと動かした。
「それは一体誰だ」
「かってはトリスタン=フォン=カレオール博士の下にいた科学者でした」
「カレオール博士のか」
 第四帝国きっての頭脳と謳われた男である。彼のことは聞いていた。

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