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124部分:ヴァルハラの玉座その五
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ヴァルハラの玉座その五

 ジークフリートは今はそのノートゥングの艦橋にいる。目指す場所はチューリンゲンであった。
「帝国軍の動きはどうなっているか」
 彼は艦橋にいた。そして部下達に帝国軍について尋ねた。
 今彼の下にあるのは正規軍の規模にして一個艦隊五十隻。海賊としてはかなりの規模であった。
「そのままチューリンゲンに向かっております」
 参謀の一人フリードリヒがそれに答えた。
「そのままチューリンゲンにか」
「はい」
「そしてチューリンゲンの艦隊はどうしているか」
「タンホイザー=フォン=オフターディンゲン公爵の指揮の下まずは市民及び王族を脱出させております」
「そうか、まずは市民達をか」
 ジークフリートはそれを聞いてまずは顎に手を当てて思索に入った。
「オフターディンゲン公爵、決して愚かな人物ではないらしいな」
「どうやら」
「市民達を逃がすまで彼等は動けない。そして」
「帝国軍もそれがわかっていると」
「そうだ。だが今は動かないか」
「機会を待っているのでしょうか」
「おそらくはな」
 ジークフリートはモニターに映る両軍の動きを見ながら述べた。
「我等は一体どうしますか」
「我等も機を待つ」
 彼は応えた。
「気が来たならば動く。よいな」
「はっ」
「帝国軍は必ず動く。その時だ」
「わかりました」
 ワルキューレはそのまま布陣し時を待った。やがてチューリンゲンにいる全ての市民達が離脱しようとしていた。そして王家の者達。それが終わりタンホイザーの軍も下がろうとした時であった。
「首領」
「うむ」
 ノートゥングの艦橋がざわめいた。帝国軍が動いたからだ。
 彼等はタンホイザーの艦隊を迂回して民間船達に向かおうとする。それは突然の動きであった。
「あの民間船に何が」
「おそらくは王家が」
 タンホイザーが仕えるチューリンゲン王家である。かって第四帝国では藩王達の中でも屈指の名家であるとされてきた。オフターディンゲン家は代々この家に仕えているのである。
「王家が」
「ならば公爵の動きは」
 ジークフリートにはわかっていた。タンホイザーがどう動くのか。っして彼はその予想通りに動いた。
 民間船を守る為に向かう。この時何隻かの船が警護から外されていた。ジークフリートはそこにもあることを見ていた。
「あの警護を外された船には公爵家の者達がいるな」
「そうなのですか」
「そうだ。彼はあくまで王の身の安全を優先させた。これは彼の臣下としての務めだ」
「彼は自身の血族よりも臣下としての立場を優先させたと」
「だろうな。彼の性格からして」
「どうなるでしょうか」
「わからん。だが公爵が苦境に陥っているのは事実だ。そして帝国は何かを狙っている」
「では」
「我々はこれよ
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