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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第41話 黒いオーブメント
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中を摩りながら背後を振り返ると金髪の少女が尻もちをついて座り込んでいた。


「大丈夫か?すまない、道の真ん中に立っていたからぶつかってしまった」
「怪我はない?」


 俺とフィーはぶつかってしまった少女の安否を心配するが少女は立ち上がると俺たちに頭を下げてきた。


「こ、こちらこそごめんなさい!慌てていたからってぶつかっちゃうなんて……お怪我はありませんか?」
「俺は大丈夫だ、君こそ怪我はないか?」
「はい、私は平気です。本当にごめんなさい」


 少女は済まなそうに頭を下げる、怪我がなくてよかったよ。


「気にしなくていいよ、それにしても随分重たそうな荷物を持っているんだね?」
「工具鞄に小型の導力砲……一杯ある」


 小さな女の子が持つには些か重いだろうと思うくらいの荷物を持っている、どれも技術者が使いそうな道具ばかりだ。お父さんのお手伝いでもしていたのかな?


「はい、これからカルデア隧道に行って導力灯を直しに行くところだったんです」
「直しにって……まさか君が?」
「はい。こう見えても私、技術者見習いなんです。導力灯くらいなら修理できます」


 技術者だったのか、でも一人で行くつもりなのか?


「護衛の人とかはいないのか?」
「はい、大人の人は忙しそうですし私が直してこようかなって」
「流石に危なくない?隧道には魔獣が出るはずだよ?導力灯は魔獣を近づけない効果があるけどそれを直しに行くって事は今は正常に起動していないってことだよね、直してる間に魔獣に襲われても戦えるの?」
「あ、それは……」


 どうやらそこまでは考えが回らなかったらしく少女はあうあうと困った様子で困惑していた。


「……もしよかったら、俺たちが付いていこうか?」
「えっ……?」
「こう見えても武術の心得はあるし足手まといにはなるつもりはない。どうかな?」


 俺がそう提案するとフィーが俺の服の裾を引っ張ってきた。


「どうした、フィル?」
「どうしたじゃないよ。街道には出るなってキリカから言われてたでしょ?」
「それはそうだが……この子、ほっといたら一人で行ってしまいそうだし見過ごすよりはマシだろう?まあなにかあったら一緒に怒られてくれ」
「もう……でもわたしもそう思ってたししょうがないから付き合うよ」
「ありがとうな、フィル」


 取りあえずこの少女についていくことにしたのだが当の本人は困惑した様子で俺たちを見ていた。


「ど、どうしてそこまで気を使ってくれるんですか?」
「んー、まああれだよ。東方の言葉で『旅は道連れ世は情け』っていう言葉があるんだ。要するに助け合いが大事って事さ」
「そういうこと、だからあなたが気にすることはな
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