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足の裏の毛
第四章

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「そうなるからよ」
「もうだね」
「足の裏の毛はあってもね」
「薄くなるんだね」
「そうなるわ、ただね」
「ただ?」
「いえ、それじゃあ私もね」
 ボアーンも夫に笑って言ってきた。
「足の裏の毛は薄くなってるでしょうね」
「君もだね」
「だって私もずっと靴を履いてるから」
 勿論靴下もだ。
「だからね」
「足の裏の毛が薄くなっているんだね」
「そうだと思うわ、皆ね」
 自分達だけでなく他のホビット達もというのだ。
「そしてやがてはね」
「まさかと思うけれど」
「なくなるかもね」
「そこまではならないんじゃないかな」
 流石にとだ、オルボルグは妻の言葉を懐疑的に否定した。
「幾ら何でも」
「そうかしら」
「薄くなってもホビットの特徴の一つじゃないか」
 その足の裏の毛はというのだ。
「なくならないよ」
「そうかしらね」
「幾ら何でもね」
「そうなのね、けれど実際にね」
「もう薄くなってるのは確かだね」
「そのことは間違いないわね」
 足の裏の毛が短くなっていることはとだ、ボアーンは夫に応えた。妻とこうしたことを話してからだった。
 数年後彼は店で番をしている時に店の前を通った村の子供達がこんな話をしていることを聞いた。その会話はというと。
「足の裏の毛って何の為にあるのかな」
「昔足の裏を守る為にあるって聞いたよ」
「足の裏を?」
「昔ホビットは裸足だったからさ」
 オルボルグが子供の頃に聞いた話だった。
「それで裸足の足の裏を守る為にね」
「足の裏に毛があるんだ」
「そうらしいよ」
「今はいらないよね」 
 子供のうちの一人がここで言った。
「皆靴履いてるから」
「そうだよね、けれどね」
「その為にだね」
「足の裏に毛があるんだよ」
 ホビット達にはというのだ。
「そうなんだよ」
「もういらないと思うけれど」 
「そう思っていてもね」
「その名残でなんだ」
「僕達ホビットには足の裏に毛があるんだよ」
 こうした話をしていた、その話を聞いてだった。オルボルグは店の方に出て来たボアーンにこう言った。
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