第三章
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「殿試に至るだけでも相当ですよ」
「何処までも科挙と同じだな」
「ですから天狐になるのは」
進士になるのと同じだけというのだ。
「相当に難しいんですよ」
「そのことがよくわかった」
「はい、それで私はです」
「必死に学んでいるか」
「そうなんです、生員になっても」
「それで満足せずにか」
「会試受けます」
そしてそれに及第するというのだ。
「もう必死なんですよ」
「それで朝から晩までだな」
「学問に励んでいる次第です」
「及第するといいな」
「全くです、もう何年も会試を受けていまして」
毎年開かれるそれにだ。
「落ち続けていますからね」
「難しいな」
「はい、これがまた」
「何処までも科挙と同じだな」
「そうなんですよ、本当に苦労してます」
「では学問に励める様に精をつけることだ」
ここまで聞いてこう言った陳だった。
「ここで食してな」
「学問も精があってこそですね」
「餓えていて学問に力が入るか」
このことを問うた陳だった。
「それはどうだ」
「そう言われますと」
「書も読めるものではないな」
「字を書くことも」
「だからですか」
「そうだ、こちらも金位はある」
李が食えるだけのものはというのだ。
「伊達に多くの者に教えているわけではない」
「旦那様はこの洛陽で有名な学者さんだからですね」
「うむ、それでだ」
多くの塾生を抱えているのだ、中には人間であるが李の様に科挙を志している若い者もいる。それも幾人も。
「お主は今は銭は気にせずにな」
「いえいえ、銀はありますので」
「それを出せるだけの力はあるのか」
「はい、今の私でも」
そうだとだ、李は陳に答えた。
「それ位はありまして」
「結構力の必要な術だと思うが」
陳は李の言葉にいぶかしみつつ返した。
「それでもか」
「これでも人に化けられて人の言葉を喋られるまでになって郷試に及第して会試に向けてかなり学んでますので」
それでというのだ。
「そうした術も存じております」
「逆に言うと銀を生み出す位でないとか」
「はい、会試は及第しません」
「そこまで難しいものなのだな」
「それで殿試になりますと」
「それ以上か」
「それこそ神仙様の様なことが出来ないと」
天狐が神だからこそというのだ。
「無理なのです」
「宝貝を造り出せないとな」
「そうなのですよ、これは」
「まさに封神演義だな」
「そこまで出来ないととても」
「天狐にはなれないか」
「殿試に及第して」
そうしてというのだ。
「無理なのです」
「それはまた難しいな」
「ですから」
それでとだ、さらに話した李だった。
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