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愚か者
第一章
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               愚か者 
 オウム真理教の事件が起こってだ、日本の誰もが驚愕した。その事件の非道さだけでなくオム真理教の野心やその教理を見てだ。
 それはある街の女子高生達も同じで彼女達はバスや電車、学校の中でこのテロ組織についてあれこれと話をしていた。
「何か無茶苦茶よね」
「そうよね、やってることが」
「関係ない人までサリンで殺すとか」
「何でそんなことするのよ」
「弁護士さんの一家も殺してるのよね」
「教団の中でも殺して」
「ポアって?」
 この時流行った言葉になった、粛清と同じ意味である。
「そう言ってね」
「攫った人殺したり」
「そうしたりしてね」
「もう自分に邪魔な人殺して」
「あとあの教祖凄いわね」
「あんな外見で愛人何人もいてね」
「自分だけ贅沢してね」
 信者達には修行ということで質素極まる生活を強要させてだ。
「もう何って感じよね」
「結局自分が権力手に入れたいだけよね」
「それで好き放題やって」
「もうそんなことしか考えてないわよね」
「何か宗教として言ってること滅茶苦茶みたいだし」
 テレビで聞くその話も思い出した。
「仏教かキリスト教かヒンズー教かわからない」
「そんな宗教みたいね」
「ノストラダムスとかハルマゲドンとか予言とか言ってね」
「それキバヤシじゃない」
「キバヤシって頭おかしいでしょ」
「つまりあの教祖も頭おかしいってことね」
「カルトよ、カルト」
 こんなことを話していた、それを勤務している学校の中で聞いた岩崎裕次郎は首を傾げさせて職員室でこう言った。まだ大学を出たばかりですらりとした外見の青年だ。スーツがよく似合い眼鏡も黒髪も清潔な感じだ。
「本当に変な状況になってますね」
「ああ、本当にね」 
 隣の机にいる斑鳩慎吾が応えた、初老の男で風格も感じられる。
「オウムでね」
「そうですよね、もう何ていうか」
「赤軍派より酷いね」
「学生運動のですね」
「あの連中も酷かったけれど」
 それでもと言う斑鳩だった。
「オウムも酷いね」
「無差別テロに何だかんだと」
「教祖は贅沢三昧でね」
「あの教祖何なんですかね」
「あれは俗物だよ」
 斑鳩は岩崎に冷めた口調で述べた。
「完全なね」
「あれですか、インチキ宗教の」
「そう、よく聞くよね」
「はい、宗教を騙って金儲けをする」
「ああいう奴は何処でもいるんだよ」
 斑鳩は苦い顔で述べた。
「狂信者もいるけれどね」
「あいつはインチキですか」
「もうどんな教理も適当に入れたね」
 その説く中にというのだ。
「仏教でもキリスト教でも何でもね、自分の都合のいいことばかりね」
「そんなものですか、そういえば」
「言ってることが滅茶苦茶だね」
「はい、ど
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