十一 暗中飛躍
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身体を捻り、人形が突き出してきた刀を回避する。
耳元で、ひゅっと、風を切るような音がした。
自らが操る傀儡人形。
主である自分の意志に逆らって攻撃してきた人形に、サソリは顔を顰める。
(チヨ婆の奴…俺の傀儡にチャクラ糸を繋げやがったか…!?)
しかしながら、ただでさえ十本の指で【白秘技・十機近松の集】を操っているのに、その上更に、いのまで操るチヨに、サソリの傀儡を奪ってチャクラ糸を繋げる余裕があるだろうか。
(だが、俺の傀儡を操るなんて、それしか考えられない…婆め、一体どんな手を…)
改めてチャクラ糸の先がきちんと傀儡に繋がっているか、サソリは手ごたえを確認する。
その間に、窮地を脱していたチヨは肩で息をしながら、今し方の展開に眉を顰めた。
(今のはわしを殺す絶好の機会だった…何故────)
頭上から迫り来るサソリの人形。
その攻撃をもろに受けてしまう間際、一瞬何かに気を取られたのか、サソリの手元が僅かに狂った。
その隙に無事攻撃を回避したチヨは、不可解な展開に違和感を覚える。
疑問が生じつつも、サソリからの怒涛の攻撃と圧倒的な傀儡の数を前に、チヨは再び指を構えた。
サソリの傀儡人形───それらが着実に減っている。
その理由が、いのにある事に、彼らはまだ気づいていなかった。
辺りを警戒する。
二人で交互に周囲を満遍なく見渡し、誰にも見られていない事を確認する。
打ち捨てられた廃墟。
与えられた任務を遂行した後、指示された待ち合わせ場所で、鬼童丸と左近は油断なく廃墟の奥へと進んで行く。
奥に進むにつれ、益々暗くなっていく廃墟。
四方は石壁で取り囲まれており、あちこちで石の柱が崩れている。
罅割れた天井の隙間から洩れる僅かな日光だけが、唯一の明かりだ。
崩壊した遺跡のようなその場所はかつての栄光など忘れてしまったように、しん、と静まり返っていた。
「…人使いが荒い奴ぜよ、ダンゾウって野郎は…」
「まったくだ。これならボスのほうがまだマシだっつーの」
ぼやきながら、倒れた柱の瓦礫に腰を下ろす。
罅割れた石柱に背中を預け、一息つくと、壁と壁の合間から声が聞こえた。
「おっつかれ〜!!」
やけに間延びした明るい声に、二人の肩が大きく跳ねた。瞬時に警戒態勢を取る。
しかし、人影らしいモノは見当たらない。
待ち合わせしている相手か、それとも気配を消して自分達を尾行していた敵か。
後者なら、現在自分達の身柄を拘束している組織の可能性が高い。
鬼童丸は左近
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