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リリなのinボクらの太陽サーガ
継承のメモリーキューブ
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定範囲を守護する剣で、ゆりかごを無敵たらしめるもう一つの鍵でした。でもあの剣はこの時代の、いえ、この世界の人間が持つべきものではなかった。太陽の如き情熱と暗黒の如き抱擁の両方を兼ね備えている、そんな人間が持つべきものだったのです。いつかそんな資格を持つ者が現れるまで、俗世から離れた場所で静かに眠らせてあげてください」

「ん……承った。常人の手に渡したくないなら、良い場所に心当たりがある。それに……あそこならクラウスが焼け落ちたクロゼルグの森で生き残っていたのを見つけ出し、ヴィルフリッド・エレミアが植えた苗を守ってくれそうだ」

「そうですか……それはきっとあの剣も喜ぶはずです。では……最後に、あなたの名前を教えてください。私の最後の希望で、私を殺してくれる“ヒト”の名前を……死ぬ前に胸に刻みたいんです」

「俺は……ギア・バーラー、レメゲトン」

「レメゲトン……決して忘れません。絶望の中にいた私の、長い夜を晴らしてくれた、輝ける太陽……」

「……さよなら、オリヴィエ。多分……初恋だった」

……キンッ!

そして……ゆりかごは墜落した。戦争は終結し、彼は預かった剣をとある場所に隠した後、世間から姿をくらまして戦乱を再び引き起こそうとする存在と陰で戦い、そして長い眠りについた。なお、この時から彼はレメゲトンの名を勝手に口外されることを非常に嫌悪するようになったのだが、その理由を知るのは本人と、仲間の手で丁重に埋葬された創造主のみである。


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マキナの日記。
新暦66年、12月13日。

今日は第100独立世界ミルチアに来てみた。ここはさながら未来国家そのもので、天を突くほどのメガロポリスや、島ぐらい大きいメガフロート、海底都市同然のジオフロントとか、SF色満載な見どころがたくさんあった。

でも、そんな高い技術力がある世界でも苦しむ人はいる。私達がこの世界に来てから知り合った青年、シン。彼の妹のラウラが3年前から突然、まるでスイッチが切れたようにまぶたを除いて身体が全く動かせなくなるという特殊な病気にかかってしまい、指一本さえ自分で動かせないらしい。症状だけなら筋ジストロフィーとほぼ同じだが、こっちの発症の原因はそれとは別にあるみたいだ。彼は妹を治すためにあらゆる手を尽くしたようだが、未だに妹がこの状態なのだから相当の難病なのは間違いない。

ま、薬や点滴ばっかりじゃ気も滅入るだろうし、たまには趣向を変えて美味しいものと思ってアクアソルを飲ませてみたら、ピクッとラウラの指が動いた。するとシンは相当驚いて私にアクアソルはどんな薬なのか尋ねられたけど、これ分類上は薬じゃなくてスポーツドリンクなんだよね……。確かに全身の血行を良くして緊張をほぐす効果はあるから、
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