継承のメモリーキューブ
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キックをぶつけた。どこぞのスフィアシュートみたく放ったそれは、あらかじめ集束していたイクスの魔力のおかげでティーダの魔力弾にダイレクトに作用し、凄まじい勢いで跳ね返した。
……天井に向かって。
「「「「「「あ」」」」」」
『あらら……これはマズいですね』
「なんか天井からミシミシって、嫌な音が……」
「こんな場所でそんな音がしているとなれば、起こりうる可能性は一つしかないぞ」
チンクが真っ青な顔で訴えた次の瞬間、トンネルの天井が一気に崩れ始めた。
「ちょ、冗談だろぉ!? これじゃ生き埋めに……あぐぁ!?」
えっと、位置的に一番近いトーレ。すまないけど、頭に瓦礫が直撃して気絶しちゃったティーダを崩落に巻き込まれる前に助け出してくれるかな。
「了解した」
「躊躇なく行ったな、トーレ。しかしシャロンはいいのか? あいつはお前を狙って……」
「わかってるよ。でも、彼は一応命の恩人なんだ。対立してるとはいえ、ここで見殺しにするのは、ちょっとね……」
「あらあら、月詠幻歌の歌姫サマときたら何ともお優しいこと。さっきこんな世界は滅べばいいと狂気じみたことを言っておきながら、目の前の命は見捨てない慈愛を持っている。月下美人は何とも面倒な性質してるんですねぇ」
「ん、それは月下美人というよりシャロンの性質だ、クアットロ」
「たい!」
「赤ちゃんまで指摘してるっス。しかし問題なのは、今の管理局は彼女に理想を押し付けている所っスかね。情報的に考えて、シャロンは自分の身に余る範囲を守ろうとはしないんスよ。なのに管理局は彼女に世界を守らせようとする、本人がやりたくないと言ってることを無理やりさせようとしているんス。そりゃ怒って逃げたりもするっスよ」
ウェンディの指摘が最も的を射ている件。この子、実は意外と鋭い?
ミッドチルダ西部、海の近くのトンネル出口。
「ふぅ、死ぬかと思った」
トンネルの崩落をやっとの思いで脱し、どうにか地上に出れた。ずっと暗い場所にいたせいか、夜空の星がいつも以上に綺麗に……あれ?
「雨が止んでる……」
「ん、シオンのハッキングが成功したみたいだ。あくまで一時的だけど、都市規模の吸血変異を抑えることはできた」
確かに四六時中暗黒物質の雨が降ってたら、ミッドの人間全てがアンデッドになるのもすぐだ。ギジタイはチェスで表すならチェックを宣言した駒、チェックメイトされずに済んだのはアウターヘブン社の努力の賜物だ。まぁ、管理局も努力はしたのだろうが……どうも彼らがやってきたことで良い結果が出た記憶が無いな。
「ちょ、ちょっと皆! アレ見てよ!?」
驚愕の表情でウェンディが指さした方を見ると、空から大気摩擦で燃えてい
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