継承のメモリーキューブ
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ら、誰もが簡単に使ってしまう。もし特定の言葉を話しただけで感染するウイルスがあるとしたら、この言葉はまさにウイルスそのものなんだって」
『なるほど……サバタさんは面白い視野をお持ちだったんですね』
「しかもね、彼ったら『この言葉を口にしたら死後の世界からでも直接根性叩き直しに行くからな』とまで言ってきたんだよ? すごいよね」
『死後の世界から説教しに来るって、とんでもないこと言いますね。まさか自力で蘇るつもりなんですか。しかも何故か知りませんが、冗談ではなく本当にやりそうな方なのが何とも……』
「でも“叩き直す”と言ってくれてるから、彼からしてみれば相手が救いようがないぐらい落ちぶれようと見捨てるつもりはないんだよね。それに……ひまわりはうつむかない、か。はぁ〜もう何なんだろう」
『シャロン?』
「ほんと、サバタさん然りザジさん然り、世紀末世界の人達は心に与える影響がとにかくすごいや。私のような弱虫でさえ、もう少しだけ頑張ってみようと思わせてくれるんだから……」
『ってことは……』
「別に管理局の上に立つつもりじゃないけど、この権力、利用させてもらう。けど先に身を隠せる場所を探すべきだね。じゃないと交渉どころじゃないし」
そう言い、私は最高評議会の置き土産であるゾハル・エミュレーターを拾った。確かに何か強力な力が秘められてるような感じがしたが、今は何の反応も示さなかった。無機物以外には特に影響はない、ということなのだろう。
「で、それはそうとこの後どうしよう?」
『とりあえず……セーブします?』
「いやゲームじゃないし、ここじゃセーブなんてできないし。冒険の書とかがあれば話は別なんだけど」
『冒険の書あるんですか!?』
「うん、世紀末世界の図書館で見つけた」
『えらいところ網羅してますね、世紀末世界の図書館!』
「とにかく無いものは仕方ない、なぜかそこに落ちてたインクリボンでも持っていこう。タイプライターがあればセーブ気分ぐらいは味わえるよ」
『ゾンビが闊歩する街ですか。ある意味、間違ってはいないんでしょうけど……って、話がずれてます。まあここは隠れ場所としては悪くないんでしょうけど、あまり長居したくない気分ですよね』
「ここが外れだっただけだよ。他の所を探せばいい」
『ですね』
とんだ寄り道になってしまったが、得るものはあったから無駄ではない。地下鉄の線路まで戻るのは面倒だったけど、途中の高圧電流の床は動力が切れたから止まっていた。おかげで戻る時に罠の心配はしなくて済んだが―――
「お前……やはり強い! 倒し甲斐がある!」
「トーレ姉様〜、チンク姉様〜、そんな時代遅れの騎士なんか打ち負かしちゃいなさ〜い!」
「
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