継承のメモリーキューブ
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ない電脳の牢獄に繋ぎ止められたのだ』
『皮肉な話だ。様々な社会規範やルールを作ってきた我々が、それらの治外法権に放り出されたのだ。今の時代ではさしずめ、プリズンヘイブンとでも言い表すべきか』
「でもそれは自業自得でしょ。あなた達は数えきれないヒトの運命を弄んできたんだから」
『運命を弄ぶ……客観的に見れば我々のやってきたことはそう映るだろう。だが我々も我々で銀河意思に対抗しようとはしていたのだ』
「何とも都合の良い言い訳だね。銀河意思と戦うためなら、何をしてもいいの? 他人の世界を壊すことになっても、銀河意思に勝つためなら何の躊躇もなくやるの?」
『ああ、やるとも。月詠幻歌の歌姫よ、これは生存競争……否、銀河意思の作り出した時の牢獄から脱出するために必要なことだ。ツァラトゥストラによる無限ループから抜け出さねば、決して終わらぬ戦いなのだ。手段や過程に意味は無い、今までの銀河意思の計画を悉く阻止できていたとしても、最終的に勝利できなければ、ヒトの未来は永遠に来ないのだ』
過程に意味がない?
最後に勝てなかったら未来が無い?
何か決定的な理由があるのだろうか?
それを尋ねたら、彼らはもったいぶらずに教えてくれた。今の次元世界はツァラトゥストラによる無限ループをしているらしい。誰かが接触するなどして条件が整ってツァラトゥストラの永劫回帰が始まると、世界はやり直されて再び時が流れ始める。これをどうにかして止めなければ、今までのことは全部無かったことになる。
かと言って、やり直された後の世界は前と同じになる訳じゃなく、同じ人物がいたり同じ出来事が起きたりするけど、接触者の動き次第で何かを変えることができるとか。
……ドクン。
じゃあ……じゃあもし、世界をやり直したら……マキナを、ニダヴェリールを死の運命から救えるの……?
『シャロン!』
「い、イクス?」
『世界のやり直しだなんて考えちゃダメです! それはこれまでの歴史を、今までの全てを否定することになります!』
「お、落ち着いてイクス。私はちょっと考えただけで実行しようなんて」
『人間、誰しもやり直したいことの一つや二つあります。時が戻ればいいのに、あの時ああしてれば、などと考えたらキリがありません。ですがそれを実際にやってはいけないのです。そんなことを一度でもやってしまったら、最も都合の良い結果になるまでやり直そうとするでしょう。例え今までの中で最も良い結果になっても、まだ上があるんじゃないかと考えて際限なくやり直してしまいます。これは私の予測ですが、ツァラトゥストラの永劫回帰は、接触者が今の世界に納得がいかなかったせいなのではないかと思っています。だから無限ループになっているのは即ち……』
「接触者が今の世界に満足して
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