継承のメモリーキューブ
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野蛮人に教えを乞うのか? 長年磨かれてきた職人の技術が、ぽっと出の新人に劣るのか? 地獄を生き延びた歴戦の戦士が、戦場のせの字も知らない一般人に倒されるのか? 否、全て否だ。なぜなら敗者には経験が無い、状況の対処法がわからないのだ』
『それは次元世界の、国の政治にも当てはまる。政治を行うには政治の知識が必要だ。経済活動、人間関係、異変兆候、株価変動、参勤交代、ありとあらゆる世界情勢に敏感でなくてはならない。だというのに民主主義やら選挙やらで、何の知識も無い新参者をトップに就かせたらどうなる? 確実に破滅し、世界が乱れる。だから長い時を経た我々こそが統治し続けなくてはならないのだ』
「人心を操る経験が豊富だから、あなた達はミスを犯さないと?」
『ああ、そうだ。そのはずだった』
はず?
『我々は見落としていた。銀河意思は死者を現世にすくいあげていたということに。銀河意思ダークが送ってくるイモータルとは、世界や当たり前の加護から外れた者達が成り果てる存在であった。我々が生み出した善と悪の対立構造は、法の下で確保という名の消去で、零れ落ちた者が無限に現れるシステムになっていた』
『だがイモータル、アンデッドとはその零れ落ちた者達が力を得て戻ってくることだった。彼らの思念、怨念は我々の想像をはるかに超えていた。スカルフェイスが我々の築き上げた駒をいとも容易く掌握したようにな。そして……』
『我々のシステムが作られる前の時代でイモータルに成った者の怨念は、もはや太陽さえも抗えない程の暗闇と化していた。その闇は我々の本体の肉体を一薙ぎで消し去り、管理局の全てを奪われてしまった』
「その闇って、公爵デュマのこと? 本体の肉体?」
『ここにいる我々は、再現データだ。オリジナルの我々はデュマの手で既に死亡している。オリジナルはデュマに殺される直前に、データバンクへオリジナルの思考や権限などをバックアップし、我々という同じ存在を作り出した。もはや肉体の有無は、脳しか肉体が残っていなかった我々にとっては大した問題では無かったのだ』
『しかしデュマは我々の存在にすぐ気づいた。当然デュマは我々をデリートしようとしたが、実は管理局のサーバーは我々の反応が完全消失したらセキュリティロックされるように設定されている。つまり最後の砦たる我々を殺せば、管理局をSOPの首輪で繋ぎ止められなくなることを意味していた』
『我々をデリートするわけにはいかなくなったデュマは我々の権限に限りなく近い権限を手にすることで2年前の計画に対処したが、我々はこうして外の様子を知ることは出来ても影響は何も与えられないデータバンクに閉じ込められた。奴らが管理局のサーバーを完全に掌握するまでの間、我々を生かさせるために、自害することも、意識を消すことも出来
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