暁 〜小説投稿サイト〜
越奥街道一軒茶屋
白布飛ぶ
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いってのはなさそうだ。とすれば話は簡単よ。これに何か名前をやるんだ。名前ってのは物でも人でもバケモノでも、なんでも縛る力があるからな。『お前』とかって呼ばれるよりは、言う事聞こうって気になるだろ?」

 そんなもので解決するんですかぃ? と一瞬思いやしたが、よくよく考えてみると、心当たりがありやす。特にバケモノに関しては、名前も何もない奴と、ちゃんとした名前がついてるやつとじゃ、やることの大きさとか、そういうのが違ったりしやす。

「わかりやした。けど名前と言われても、あっしにゃすぐに思いつかねえんですが……」

 名づけなんてそうそうやったことねぇもんで。
 すると褐鴉の旦那は、なら儂が考えよう、と言って暫く黙り込みやした。

「そうだな……『しろうるり』というのはどうだ?」

「なんですかぃ? それは」

「知らんよ。今思いついただけだ。もしそういうのがあるんなら、きっとこのバケモノに似てるんだろうがな」

 さっぱり意味が解りやせんって……。
 それでも名前にはなるんでしょうな。あっしがその名を呟いた途端、布ははしゃいであっしのところに来たんでさぁ。
 問題が解決したにはしたんですが、突拍子もないというか、訳がわからないもんで、どういう顔をしたらいいのかわからない。
 仕方ないんで何となく『しろうるり』を見てると、旦那が懐から酒瓶を取り出しやした。

「そうだ、土産にこれを持ってきた。一杯やろうや」

 しろうるりからは完全に興味が離れてる様子の旦那。盃を二つ取り出して、酒を注ぎやした。

 ……解決したんで、まあいいってことにすりゃいいんですかね。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ