暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第258話 心に届く想い
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で元に戻そう。

 自分や玲奈のよりも数段新しいヴァージョンのヘッドギアを掴み上げると、自室に取って返した。側面のカードスロットにALOのクライアントがインストールしてあるメモリカードを挿入する。ベッドに横になって浩一郎のアミュスフィアを自分の頭のサイズに調節して被る。
 そこから先は、アスナれはなくエリカの身体(アバター)への調整だ。この身体を、一時的に母に貸す……、エリカの姿になって貰う為に調整をする。普段の武器装備はすっかり外して、その後は服装をチェック。おかしな所はないかを確認した後に、一時ログアウトコマンドを実行。これで、もう面倒なログイン過程を踏む事なく、被れば直ぐに先程のエリカの姿になる事が出来る。
 それを改めて認識した後に、明日奈は兄のアミュスフィアを手にしたまま立ち上がり、妹の玲奈の下へと向かった。

「レイ。準備出来たよ」
「……うん」

 やや緊張感のある返事。これから先の事は不安がより大きく心の内を占める。ひょっとしたら、SAO時代の攻略の時以上かもしれない。

 それでも歩みを止める訳にはいかず、2人は母の部屋の方へと向かった。

 何度も躊躇いそうになってしまう。こんなにも気詰まりになってしまうのはなぜだろうか、とも思ってしまう。そんな時頭を過ぎるのは 隼人と綺堂氏の関係だ。本当の親子ではないのは判っているが、血の繋がり以上のものをその仕草に、雰囲気に感じられる。心から信頼し、愛していると。……少し特殊ではあるものの、理想的な家族だと思う。子を信頼し、親も信頼される。間違えている所はちゃんと指摘、理解し直す。……そして笑顔が絶えない。これだけでどれだけ幸せな事か。羨ましくも思う。今の冷え切ってしまった母娘関係を見ればどうしても。
 あんな風になるのは 今更無理かもしれない。……でも、少なくとも自分の意思は、考えは伝えられる間柄になりたい。ただ、言われるだけでなく。従うだけでなく。ちゃんと自分の未来への道を……。

 不意に自分の右手に感触があった。

 玲奈が、手を繋いでくれたのだ。安心させてくれる為……と一瞬思った。でも、玲奈の手も震えている事が分かった。戦っているのは自分だけでない事も改めて判った。

 だからそっと握り返すと同時に、右肩を小さな手が押してくれる様にも感じられた。


――大丈夫。2人なら絶対できるよ!
――私もそう思います。お2人はとても、とても強いです。きっと、大丈夫……。


 それはきっと玲奈も同じだろう。皆から貰った大切なものを胸に、明日奈はそっとドアノブをノックした。
 
 母の方は早いものだ。ものの数秒で『どうぞ』という声が微かに聴こえたから。
 ノブを回し、開いて2人は繋いだ手を解いた。

 母を前にする時、やはりどうしても萎縮
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