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異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
逃走
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 “縮地”を発動させると、目の前の視界がゆがむ。
 気持ちの悪い周りの風景が一瞬視界いっぱいに広がる。
 やはりこの瞬時に敵の前に躍り出るのは慣れない、そして一か月のブランクはあると俺は感じた。

 とはいえ敵の目前に出たのだから、こんな場所で動けずにいるのは自殺行為だ。
 だが、ブランクがあるとはいえ俺の体は覚えていたようだ。
 戦い方を。

 地面を蹴って飛びあがると同時に、先ほどの走査した弱点部分を認識する。
 魔力で付けた“印”はまだ残っている。
 後はその場所を……“断ち切る”のみ。

 そう思って剣を動かす。
 凪ぐように少ない動作で自身の作り上げた“剣”で切り裂く。
 感触は思いのほか無いのは、この剣の特性だ。

 だが、“結果”はすぐに見て取れる。

グァアアアアアア

 悲鳴を上げるこの魔物だが、それぐらいの余力は残してしまっていたのか、それともこの方法では“最適”な倒し方と言えないのか。
 さらに追加の攻撃を加えるべきかどうかは、考える必要はないがと俺は思う。
 魔物は悲鳴をやめた。

 代わりに石のようなものがこすれる音がして、ズウッと鈍い音を立てながら横にずれていき、更にばらばらと崩れ落ち、黒く立ち上るそれは消えていく。
 また、この魔物を構成していた部分も、砂となって崩れ落ちていく。
 石だと思っていたものは魔力で結合されて強度を増した物であったのかもしれない。

 そして肉の部分は魔力……そう思っていると、この魔物の消えゆくからだから幾つもの赤い魔石が見て取れる。
 小さいものではあるが五つくらいありそうだ。
 前の世界では、魔物には大抵一つしか魔石はなかったが、この世界ではこういったものが一般的なのかもしれない。

 とはいえ、これでどうにか魔物は倒せた。
 呆然としたような、フードの少女だが手足には擦り傷が見て取れる。
 それに少女の手助けに加勢しようとした勇敢な商人の護衛達。

 彼らは魔力を読み取る感じではまだ生きているようだ。
 それならば回復系の魔法を使ってしまおう。
 何かを聞かれる前に!

 そう思って俺は範囲指定を少女と倒れている男たちの範囲に設定しながら、

「“回復の霧(ヒール・ミスト)”」

 そう告げると、俺の指定した範囲で霧が発生して傷口に入り込んでいく。

「え、え?」

 少女は驚いたように声を上げる。
 同時に、男たちが小さく呻いてそれから何が起こったんだと呟きながら立ち上がる。
 どうやらうまくいったようだ。
 
 そこで助けた少女が、

「こんな高度な回復魔法……それに、私が倒せなかった悪魔(ゲヘナ)をいとも簡単に倒すなんて……あ」
「それじゃあ俺は、やることはやりましたので、さような
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