暁 〜小説投稿サイト〜
越奥街道一軒茶屋
雷神の子
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 あっしが改めて礼を言うと、やっぱり笑って頬を掻く。こういうとこは年相応みたいで。

 口だけの礼ばかりじゃこっちもいい意味で気が収まらないもんで、少年には菓子をふるまいやした。お代はとらないつもりでさぁ。好評だったみたいで、何度かお替りをしやした。

「やっぱり、嫌なことも沢山あったんでしょう?」

 ふっと気になって、あっしは少年に聞きやした。人並外れてるってことは、それ相応に苦労も増えるもんでさぁ。
 不死の比丘尼は、繰り返す死別に耐えられなくなった、という昔話も聞きやす。

「まあ何もないわけないよ。でもそれでいいんだって。人にないもの持ってるのがオレで、オレはオレなんだからさ、それを嫌がったら負けだと思うんだ……この大福、もういっこ貰ってもいい?」

 変わってる、というより不思議な子供なんだなあと思いやした。全く顔色変えることなく、さらっと凄いことを言っていく。どうも嵐は面倒ごとばっかもってきたわけじゃなかったみたいで。

 あ、因みに頭の蛇のことなんですがね、

「なんかわかんないけど懐かれてるだけ」

 だそう。
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