第三章
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翔太を連れて夜の街に出た、彼の手をつないでいるがにこにことさえしていた。
そのにこにことしている春菜を見てだ、翔太は首を傾げさせて彼女に言った。
「姉ちゃん全然怖くないんだな」
「妖怪が出るって聞いても?」
「驚かせる位ならって言ってたよな」
「ええ、叔母さんにね」
翔太の母にというのだ。
「はっきり言ったわ」
「それ凄いよ」
「そうかしら」
「妖怪怖くないのかよ」
「幽霊も怖くないわよ」
そちらが出て来てももというのだ。
「別にね」
「凄い肝っ玉だったな」
「だって世の中ヤクザ屋さんもいるでしょ」
「ヤクザ屋さんの方が怖いっていうのかよ」
「だってヤクザ屋さん悪いことするじゃない」
それならというのだ。
「そっちの人達の方が怖いわよ」
「成程な」
「そう、もっと怖いのは変質者とか頭のおかしい人とか」
「ああ、通り魔とかか」
「いきなり包丁持って暴れだす人とか」
それこそという口調でだ、春菜は翔太に話した。
「滅茶苦茶怖いじゃない」
「妖怪や幽霊よりも怖いっていうんだな」
「断然ね、だからね」
「驚かせてくるだけなら平気か」
「私はね。じゃあコンビニ行きましょう」
そしてそこでアイスを買おうというのだ、そうした話をしてだった。
二人はそのコンビニに入った、そこでそれぞれ買いたいアイスクリームをコンビニのアイスクリームのコーナーから選んでだった。
レジに来た、すると。
それまで二人に背を向けていて唐揚げを焼いていた店員が振り向いてきた、客は二人以外にはいなかった。
だがその店員の顔は。
何もなかった、目も鼻も口も。勿論眉毛もだ。
そののっぺらぼうの顔を見てもだ、春菜は平然とその店員に言った。
「アイス二つお願いします」
「いや、あのね」
のっぺらぼうの店員は何処からか声を出してきた。
「驚かないの?」
「はい、もう事前に聞いてましたし」
妖怪にも平然として返した。
「それに驚かせるだけですよね」
「まあ俺達のっぺらぼうはね」
「だったら別にです」
これといってというのだ。
「驚かないです」
「そうか、がっかりだよ」
「というか妖怪さんが働いてるんですか」
「人間の店員もいるよ」
「その人は」
「いや、臨時の店長さんから来てるけれどね」
「その人もですか」
「実は俺悪戯で入ってるから」
人を驚かせる為にというのだ。
「店長さんがいない隙を見計らって」
「そうだったんですか」
「俺妖怪だから」
「妖怪だから?」
「人を驚かせるのが生きがいだからね」
それ故にというのだ。
「こういうこともするけれど」
「店長さんご存知ですか?」
「勿論知らないよ、じゃあその店長さんそろそろ来るから」
「普通音楽鳴っ
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